VMware Infrastructure 3のストレージ機構[1]:VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編(9)(4/4 ページ)
連載「VMware Infrastructure 3徹底入門」では、VMware Infrastructure 3のコンセプトやアーキテクチャといった、いわば理論的な部分を紹介した。新連載の「VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編」では、実際の設計から導入、運用までを紹介する。今回はVI3環境におけるストレージ構成に関する3回にわたる解説の初回として、利用できるストレージ接続形態と、ファイバチャネルSANの構成を紹介する
マルチパス構成の管理
VMware ESX 3.x は以下の2種類のマルチパスポリシーをサポートしている。
- Fixed (固定) - パス故障箇所の復旧時に自動的にフェイルバックを行う
- MRU (最近の使用) - パス故障箇所の復旧時に自動的にフェイルバックを行わない
単一論理ボリュームに対して複数のストレージコントローラが同時にI/Oを行うことが可能なストレージ(Active-Activeストレージ)では 1. で構成する。単一論理ボリュームに対してI/Oを発行可能なコントローラが1個に限定されるストレージ(Active-Passiveストレージ)では 2. で構成する。通常これはESX側で自動的に認識するため、ポリシーの設定はデフォルトのまま利用する。
また、「優先的に利用されるパス」に関する設定を行うこともできる。「すべてのパスが正常に動作しているとき、どのパスを優先的に利用するか?」という設定である。この設定は論理ボリュームごとに個別に設定することができる。以下の例を考えてみよう。
LUN ID: 0の論理ボリュームに対してvmhba2:1:0というパスを優先利用させたいという例である。
ポリシーならびに優先パスの設定は、ストレージアダプタの管理画面より、該当デバイスを右クリックし、「パスの管理」を選択することで行うことができる。
この例では vmhba1 ならびに vmhba2 の先に存在している LUN 0 に対するアクセスポリシーを設定するウィンドウが起動する。
ここで優先的に利用されるパスの設定や変更を行うことができる。LUNを多数作製する場合、ストレージの設計者は可能な限りコントローラやFC HBAが分散利用されるよう構成したいと考えるはずだ。VMware ESXではLUN単位で優先パスの設定を行うことができるため、特に性能を重視するシステムではストレージ側の設計に合わせてVMware ESX側の優先パスの設定を行うことが望ましい。
今回はVMware Infrastructure 3環境におけるストレージの扱いと、ファイバチャネルSANを利用するときの構成手順について解説した。次回は仮想マシン用ファイルシステムVMFSの構築とそれを複数のESXから共有する手順を説明する。またiSCSI SANの構成・利用方法について解説する。
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