うまくいかないときはスタイルの転換期:心の健康を保つために(12)(1/2 ページ)
ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。
親分肌のBさん
これまでうまくいっていたことがうまくいかなくなったら、自分のスタイルや生き方を転換期する時なのかもしれません。
マネージャのAさん(45歳)が、隣のグループのマネージャであるBさん(50歳)のことで相談に来ました。 最近Bさんのグループの仕事が遅れて、その影響でAさんのグループも納期に間に合わなくなってしまい、非常に困っているというのです。
Bさんに「納期を守ってほしい」と伝えても、「ほかにも仕事がたまってしまっているから、もう少し待ってくれ」の一点張り。「うちは人を増やしてもらえないのに、ここのところ急に業務量が増えて大変なんだ」といわれる始末。打つ手はないものか、と悩んでいるようでした。 Aさんには「Bさんにカウンセリングを勧めてみてください」と伝えました。
確かに、Bさんのグループの仕事量は急激に増えていました。増員が見込めないため、グループ員による深夜残業と休日出勤でしのいでいるようでした。
Bさんは率先して作業をこなし、いらだつグループ員同士がトラブルになると、話をよく聞いてなだめていました。「皆が頑張ってくれているんだから」が口癖で、部下の面倒見が良く、部下には温かいが上司には抗議もいとわないという熱血型のマネージャでした。「体力が取りえ」とはいうものの、「よく体がもつなあ」と思うほどの働きぶりでした。
そんなある日、Bさんに異変が……
そんなある日、Bさんは突然腰痛を訴えて、会社を1週間休みました。朝起きようとしたら、腰に激痛が走って立ち上がれなくなったようです。
1週間後にBさんは会社に復帰しましたが、長時間席に座っていることができず、ますます仕事がたまっているようでした。
やがてAさんだけでなく、他部門でも仕事の遅れに対する非難の声が上がりだしました。Bさんは腰痛で休んで以来すっかり気力がなくなっているようで、時々体調不良を訴えて休むようになりました。Bさんの不在により、仕事は止まりがちでした。
Aさんからカウンセリングを受けるようにと勧められたBさんは、つらそうな表情を浮かべながら、やっとの思いでカウンセリングへやってきました。
「朝起きると体が重く感じられて、“行きたくない”という思いと闘うことがつらくて仕方がない」と、Bさんは苦しそうに話します。
「体力だけは自信があったんですが、腰痛でその取りえもなくなったと思ったら、何だか“がくっ”となってしまったんです」
Bさんは、ぎりぎりの状態でグループ員を気遣いながら、上司や他部署からの圧力にも屈せず頑張ってきた結果、疲れきってしまったのだと思われました。頑張る支えとなっていた「率先して動くから、皆も耐えてほしい」という自分の軸が、腰痛により崩れてしまったとも考えられます。Bさんには、まず短期間の休養を取ってもらうことにしました。
こうなる前に、Bさんはどうすればよかったのでしょうか。
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