触って試すKVM運用ツール「oVirt」:知って見るみるKVM(4)(2/3 ページ)
アナウンス後わずか2カ月でLinux Kernelにマージされたことで一躍注目を浴びることになった仮想化技術「KVM」。しかし、その具体的な仕組みや使用方法となると、意外と知られていないのではないでしょうか。この連載ではそんなKVMについて紹介します(編集部)
oVirtアプライアンスのインストール
さて、oVirtのアプライアンスをインストールしてみましょう。KVMのイメージなのでファイルをダウンロード、展開し、シェルスクリプトを実行するだけです。ファイルはダウンロードページ(http://ovirt.org/download.html)からリンクをたどれますが、今回はwgetでダウンロードするため、直接URIを指定しています。
$ wget -c ftp://ftp.redhat.com/pub/redhat/ovirt/ovirt-developer-appliance-0.91-1-x86_64.tar $ su - # cd /var/lib/libvirt/images # tar xvf ~user/ovirt-developer-appliance-0.91-1-x86_64.tar # mv ovirt-developer-appliance-x86_64/developer.img .
スタンドアロンアプライアンスのイメージはvirt-managerを使って起動させます。virt-managerが内部的に使用しているlibvirt用のイメージディレクトリは/var/lib/libvirt/imagesです。このため、アプライアンスイメージdeveloper.imgは、/var/lib/libvirt/imagesに配置する必要があります。
スタンドアロンアプライアンスのアーカイブには、ホスト環境設定用のシェルスクリプトが含まれていますが、ここで使用しているバージョン0.91-1のものは、Fedora 11ではそのまま実行しても動きません。理由はkvmパッケージの名称が変更になっているためです。Fedora 9では「kvm」だったものが、Fedora 11では「qemu-kvm」に変更されています。ですので、スクリプトも下記のように修正しておく必要があります。
# diff -u create-wui-appliance.sh.bk create-wui-appliance.sh --- create-wui-appliance.sh.bk 2009-09-16 00:55:01.717300809 +0900 +++ create-wui-appliance.sh 2009-09-16 00:55:23.118245567 +0900 @@ -179,7 +179,7 @@ fi # now make sure the packages we need are installed -rpm -q libvirt -q kvm -q virt-manager -q virt-viewer >& /dev/null +rpm -q libvirt -q qemu-kvm -q virt-manager -q virt-viewer >& /dev/null if [ $? -ne 0 ]; then # one of the previous packages wasn't installed; bail out die "Must have the libvirt, kvm, virt-manager, and virt-viewer packages installed"
このスクリプトを実行するには、先にlibvirtdを起動させておく必要があります。スクリプトの内部でvirshというlibvirtの管理用ユーザーインターフェイスのコマンドを実行し、仮想マシンの設定を行っているためです。
# service libvirtd start # bash ovirt-developer-appliance-x86_64/create-wui-appliance.sh -v
上記のcreate-wui-appliance.shスクリプトのオプション「-v」が、ディベロッパーバージョンとして設定するためのオプションです。これでoVirtを使うための準備が整いました。
oVirtアプライアンスの起動
それでは、早速oVirtアプライアンスを起動してみましょう。次のように入力します。
# virsh start developer Domain developer started # virsh start node3 Domain node3 started # virsh start node4 Domain node4 started
ドメインdeveloperがoVirtサーバ(管理サーバ)の物理サーバに相当し、ドメインnode3、node4が管理対象ノードの物理サーバに相当します。図にすると次のようになります。
「仮想マシンの中に仮想マシンが入れ子になる」というのが、oVirtアプライアンスのイメージです。そのことは、virt-managerから見えるリソースと、oVirtコンソールから見えるリソースの違いから分かります。
では、virt-managerとoVirtコンソールを起動して見比べ、確認してみましょう。
virt-managerはGTKのツールなので、アプライアンスを配置した物理サーバにインストールした Fedora 11(以後、ホストOSと呼びます)上でvirt-managerコマンドを実行すれば起動します。
$ sudo virt-manager &
oVirtの管理コンソールの本体は、前回説明したとおりWebアプリケーションですので、Webブラウザからアクセスします。oVirtアプライアンスはデフォルトでは、oVirtサーバ上、つまりローカルホストでしか管理コンソールにアクセスできないように設定されていますので、sshでXforwardできるように設定しておく必要があります。/etc/ssh/sshd_configを以下のように修正し、sshdを再起動しておきます。
X11Forwarding yes
Webブラウザを起動する際には、ホストOSで次のコマンドを実行します。
$ LANG=C ssh -Y root@192.168.50.2 firefox
すると、以下のように表示されます。
上記のように、virt-managerではdeveloperが見えていますが、oVirtコンソールからはdeveloperが見えないことが分かります。これはハードウェアリソースプールを構成するのはoVirtノードであるためです。developerは管理サーバであるため、ハードウェアリソースを提供しません。なので、ハードウェアリソースプールには表示されない、というわけです(注4)。
注4:前回の記事を書く際、これを理解していなかったので、物理サーバ1台でoVirtをネイティブにインストールしてしまい、ハードウェアリソースがまったく表示されませんでした。
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