第2回 Hyper-V 2.0のライブ・マイグレーション設計のポイント:Hyper-V 2.0実践ライブ・マイグレーション術(4/4 ページ)
Hyper-V 2.0のライブ・マイグレーションの構築ノウハウを紹介。性能と可用性を意識したシステム設計のポイントとは。
Active Directory環境が必要
ライブ・マイグレーションはWSFCを利用するため、Active Directoryドメイン環境や動的更新に対応したDNSが別途必要となる(ドメインの機能レベルは特に問われない)。
ドメインへの加入は、WSFCを構成する親パーティションは必須となるが、ゲストOSについては加入しなくても問題ないので、業務アプリケーションなどに影響が生じることはないだろう。
また、あまり知られていないのだが、グローバル・カタログ(GC)やDNS、FSMOなどの役割を担うドメイン・コントローラを仮想化するのは、下記のサポート技術情報のとおり考慮すべき問題が多数あるので注意しよう。テスト環境であれば仮想化して問題ないが、実運用環境では避けた方がよい。最低でも1台は仮想化せず、物理OS上に導入するようにしよう。
- 仮想ホスト環境で Active Directory ドメイン コントローラをホストする場合の考慮事項(マイクロソフト サポート技術情報 KB888794)
■実運用環境を意識したシステム構成例
本稿の最後に、ここまでのポイントを考慮した構成例を掲載しておくので参考にしてほしい。
1サーバ当たり8ポートとPCIスロットをかなり消費しているが、これらはすべて可用性を考慮した結果である。仮想化されたホストでネットワーク障害が発生してしまうと集約した仮想マシンすべてがダウンしてしまうため、冗長性は物理環境以上にシビアに考える必要がある。デュアルポートNICの搭載や、上述の「HP Flex-10」などのベンダ独自のテクノロジの利用も視野に入れていこう。もちろん、テスト環境であれば、ここまで冗長構成にする必要はない。
本番環境を意識したライブ・マイグレーションのシステム構成例
1サーバ当たり8ポートと、PCIスロットの数をかなり消費しているが、物理環境以上に冗長性を重視する必要がある。
MPIO:マルチパスI/O。
SAS:Serial Attached SCSI。
SLAT:Second Level Address Translation。Intel EPTやAMD RVIなどが該当。
本稿では、ライブ・マイグレーションの設計ポイントについて、実運用環境を意識して解説した。次回は、ライブ・マイグレーションの構築方法について、実際の設定画面などを交えながら解説していく予定だ。
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