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ITエンジニアに送る「はじめての時間管理術」特集:生き残れるITエンジニアの「仕事術」(2)(1/2 ページ)

仕事をする際、基本となる「時間管理」。しかし、「自分には向かない」「スケジュールどおりにいかないから面倒くさい」と思っている人はいないだろうか? しかし、時間管理とは、実に「簡単」で「フレキシブル」なものなのだ。時間管理術のプロが、すぐに始められる「時間管理術」を紹介する。

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 納期の前日に「バタバタ」と慌てて仕事を片付ける……。あなたはそんな「バタ男」(もしくはバタ子)になっていないだろうか? バタバタしたいわけでは決してない。なのに、いつもバタバタしてしまう。だとしたら「タイムマネジメント」(時間管理)を試してみてはいかがだろうか。

 タイムマネジメントとは、文字どおり「時間をどう使うか」を考えて行動することだ。つまり、「事前に時間の使い方を計画して行動すること」である。このタイムマネジメント次第で「バタ男」状態は大きく改善できる。

「計画どおり? 無理むり」――タイムマネジメントにまつわる“誤解”

 しかし、「タイムマネジメント」というと、どうも堅苦しくて不自由なイメージが付きまとう。そのせいか、積極的にタイムマネジメントを行う人は意外に少ない。「そもそも計画を立てたところで、計画どおりに進んだためしがない」「計画なんて立ててもムダ」と感じる人もいるだろう。

 実はわたし自身、以前はそう感じていた。毎日のように突発のトラブルや急な仕事が降ってきて、立てた計画はグチャグチャ。計画なんか立てるから、ストレスを増やしてしまう……。わたしは以前そのように“誤解”していたのだ。

 タイムマネジメントをやらなければ「バタ男」になってしまう。しかし、タイムマネジメントをやると計画どおりにいかないことだらけでイライラしてしまい、ストレスもたまる……。わたしはそう思っていたのだが、これは「タイムマネジメント」のイメージが少し間違っていたせいだと気が付いた。

 「タイムマネジメントをするなら、細かくタイムスケジュールを立てなければいけない」という先入観が間違いだったのだ。

タイムマネジメントは2つの仕事の整理から始まる

 では、どうやって計画を立てるのがいいのか? その説明をするためには、まずはわたしたちの「仕事」について考えよう。わたしたちが日ごろ行っている仕事は、「時間」の観点で2種類に分けられる。「アポイントメント」「タスク」だ。

アポイントメント=時間が指定されている仕事

 アポイントメントは、「時間が指定された仕事」である。社内の会議や打ち合わせ、客先へのプレゼンなど、あらかじめ時間を決めて約束している仕事のことを指す。

タスク=時間が指定されていない仕事

 一方、タスクは「時間が指定されていない仕事」だ。コーディングや書類の作成など、多くは自分1人で行う作業である。このタスクは、期限は決まっているものの、いつ実行するかは個人の自由に委ねられる。期限より早く終わらせるか、期限ギリギリになるかは自分次第である。このタスクがやっかいな存在なのだ。

タスクの管理や実行がタイムマネジメントの重要ポイント

 タスクは、アポイントメントとは違って時間的には自由度の高い仕事である。だからこそ、さっさとやればいいのに先延ばししてしまったり、所要時間を読み違えてしまって後で焦ったりしてしまう。このタスクをどう計画し、実行するかがタイムマネジメントで最も重要なポイントだ。以下、お勧めのタスク管理・実行法を紹介していこう。

「ToDoリスト」の問題点

 タスクを管理するというと、多くの人がイメージするのは「ToDoリスト」だろう。これはタスクを書き出してリスト化したものだ。このToDoリスト、未完了の仕事を忘れないためには役立つものの、うまく使いこなすのがなかなか難しい。

 ToDoリストの問題の1つは、リストにいつまでも片付かない仕事が残ってしまうことだ。いつまでも仕事が残り続け、いつ片付くかの見込みが立たない。そんな状況を見るのは、誰だってイヤなもの。それが原因で、ToDoリストを使わなくなる人は多い。

 そして、もう1つ問題がある。それは「今日やるべきタスク」が一目で分かりにくいことだ。例えば、朝出社してToDoリストを見たとする。そこから「今日やるべきタスク」を的確にピックアップするのは意外に大変だ。なぜなら、リストには来週でもいいタスクや、さらにその先のタスクまでさまざまなタスクが並んでおり、そこから「今日やるべきタスク」を選び出さなければいけないからだ。そのため、タスクが多くて忙しいときほど、この作業が挫折しやすい。

タスクの実行日を決めてしまう

 このように扱いが難しいToDoリストだが、少し変更するだけで使い勝手がよくなる。それが「実行日別にリスト化する」という方法だ。例えば、新しく仕事を頼まれたりしてタスクが増えたら、その時点でそのタスクの実行日を決めてしまう。これを決めるか決めないかで、大きな違いが出てくる。

 「この時点でタスクの実行日なんて決めても、どうせ守れるわけがない」とあきらめてしまう人がいるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。確かに急な仕事が入ったりすると、予定したタスクの実行は困難になるのだが、それでも構わない。とにかく「実行日を決めてしまうこと」が重要なのだ。

タスクの実行時間を確保するために

 タスクの実行日を決める理由の1つは、タスクの実行時間を確保できるか確認するためだ。そのためには、タスクの実行日をやみくもに決めては意味がない。そのタスクを処理する時間を確保できるかどうか考えつつ、実行日を決めることがポイントなのだ。

 ここで先ほどの「アポイントメント」が重要になってくる。そもそもアポイントメントもタスクも「自分の時間を使う」という意味では同じだ。当たり前のことだが、アポイントメントが多い日はタスクをあまり処理できないし、アポイントメントが少なければ、タスクを多くこなせることになる。

 つまり、タスクの実行日を決めるためには、アポイントメントの情報も必要なのだ。先ほどの「ToDoリスト」のようにタスクをアポイントメントと切り離して管理するのは、そういう意味でも無理がある。

アポイントメントがない「空き時間」をつかむ

 というわけで、まずはアポイントメントの管理が必要だ。アポイントメントの管理で重要なことは2つある。まず、「アポイントメントを忘れないように管理すること」、そして「アポイントメントの入っていない時間(空き時間)」がどれだけあるかつかむことだ。

アポイントメントは「空き時間」がつかみやすいように書く
アポイントメントは「空き時間」がつかみやすいように書く

 上記の図を見て欲しい。手帳に会議の予定を書く場合、左のように書くだけでも「アポイントメントを忘れない」ためには充分に役立つ。しかし、さらに一歩前進して、右のように書いてみよう。その日の「空き時間」がどれだけあるか、はっきり可視化できている。これが重要だ。

実行日を決めたタスクとアポイントメントを手帳に書いた例
実行日を決めたタスクとアポイントメントを手帳に書いた例(クリックすると拡大)

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