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データモデリングは「できるところ」から始めようゼロからのデータモデリング入門(12)(3/3 ページ)

全12回の連載もいよいよ今回で最終回です。最終回では、データモデリングを始めるにあたってのポイントをお話しします。

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継続は力なり

 本連載ではあまり詳しくは述べませんでしたが、データモデルをさまざまな局面で活用するためには、データモデル自体が陳腐化しないように管理していく必要があります。

 データモデルの作成は、全社機能すべてを対象に実施することは少なく、最初に販売管理システムのデータモデルを作成し、次に生産管理システムを実施するといったように、通常段階的に作成していきます。ここで問題となるのがデータモデルの管理です。生産管理システムで利用するデータモデルは販売管理システムのものをベースに作るわけですから、各データモデルの差異を管理しなければなりません。例えば、顧客や製品といったリソース系のデータは共通資源となりますが、イベント系は多くの場合システムごとに異なります。そのため、同じエンティティでも、リレーションシップやアトリビュートに差異が発生する可能性があります。

 こうした差異を検証し、本来のビジネスを表した適切な状態で管理/運用していく必要があるのです。また、システム保守の観点から、構造の変更に対応するための運用ルールを決めておく必要もあります。

 また、論理データ構造と物理データ構造との差異を管理する必要もあります。外部委託して構築されたシステムがどのようなデータ構造になっているのか、論理データモデルとはどのように異なるのかが分かれば、ビジネスが変化してデータモデルを変更した場合に現状システムにどのような影響を与えるのかを把握することができます。

 このように、常にデータモデルを活用できる状態にしておくことも、データモデルを浸透させるために必要なことです。

“ゼロから”のデータモデリング

 本連載ではデータモデルの歴史的背景からデータモデリングの種類、活用方法、具体的な実施方法について述べてきました。そして、データモデルはユーザー部門とのコミュニケーションツールとして非常に有効であること、また、データモデルの管理により企業内に浸透させていけることをお話しました。データモデリングの必要性を感じ「できるところから始める」という意識を持って取り組むことで、本来のデータモデルの活用を行うことができます。「ゼロからのデータモデリング」のポイントをまとめると、以下のようになります。

1.3つのモデルを理解し手段を選択する

 データモデリングを始めるタイミングは、システム企画段階、システム再構築プロジェクトにおける既存の課題の整理、現状システムの検証などさまざまです。まずは、データモデルには3つのモデルがあり各特徴を理解することが必要です。「概念データモデル」は、大きく全社の業務をとらえるために有効ですし、「論理データモデル」は対象業務範囲における業務の流れをデータ視点でとらえることが可能です。「物理データモデル」はシステム実装を最適な状態にするために有効です。

2.データモデルの活用方法を検討する

 ユーザー部門とのコミュニケーション、現状システムのフィットアンドギャップ、システム企画/分析、外部委託先の品質チェックなどさまざまな活用の方法があります。システム部としては、現状の課題は何かをベースにしてデータモデルがどのように活用できるかを検討することが重要です。

3.できるところから始める

 データモデルが読める/描けるようになるには場数を踏むことが必要であるといわれています。日ごろから「これをデータモデリングすると……」という気軽な気持ちで、課題の分析やコミュニケーションにデータモデルを利用してみてください。

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