今回から3回に分けて、第6回「基本設計で作るべき『論理データモデル』の考え方」で解説した論理データモデリングについて詳しく見ていきます。今回は、「論理データモデルはビジネス活動をデータで表す」ということをより理解いただくために、ER図の読み方と書き方について具体的にお話しします。
これまで概念的なお話を中心にしてきましたが、今回は具体的にER図からどのようにビジネス活動を読み書きするのかという点についてお話しします。
ER図を書くためには、まず読み方(ルール)が分かっている必要があります。ここで簡単におさらいしておきましょう。ER図は表1に示すようにエンティティ、アトリビュート、リレーションシップの3つから構成されます。
エンティティ | 図1の赤色枠で囲んである部分。ビジネス活動を続ける上で管理すべき最小単位を表す。ビジネス上重複することがない。 |
---|---|
アトリビュート | 図1の青色枠で囲んである部分。エンティティの性質を表す1つ1つのデータ項目のこと。単に属性という場合もあるが、データの型や長さなどのシンタックスを示すものではないことに注意。 |
リレーションシップ | 図1の緑色で囲んである部分。エンティティ間の結びつきや関係性を表す。ビジネスルールはリレーションシップによって表現される。 |
●表1 ER図構成の説明 |
ER図からビジネスを読み解くためには、ER図の中でビジネスルールがどのように表現されているかが理解できなければなりません。そこで重要なのがリレーションシップです。以降で、リレーションシップの種類を例示しながらビジネスルールを確認していきます【注1】。
【注1】ER図の表現方法はいろいろとありますが、今回はIE(鳥の足)を使って表現しています。
エンティティ間のリレーションシップが依存しているのか、独立しているのかは、リレーションシップの線で決まります。
図2のER図の例を見てください。「注文」エンティティと「出荷」エンティティは依存のリレーションシップにあります。「依存のリレーションシップ」とは、つまり「親エンティティに依存しなければ子エンティティが存在できない状態」を意味します。これを踏まえると、図2の依存のリレーションシップは出荷を行うには必ず注文が必要になるというビジネスルールを表しています。なお、依存のリレーションシップを表現する場合は実線を使います。
例えば、顧客の要望により先行出荷を行うこともある場合、「注文」エンティティと「出荷」エンティティは図3のER図のように「独立のリレーションシップ」として表現します。依存のリレーションシップは実線で表しましたが、独立のリレーションシップは破線で表します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.