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VMware vSphere 4.1 のストレージ機構 (1) VAAIVMware vSphere 4.1の進化を探る(3)(3/3 ページ)

VMware vSphere 4.1では、共有ストレージ装置が保有するさまざまな機能を、ハイパーバイザと連携させることで有効活用するための機能が搭載された。これがVAAI(vStorage API for Array Integration)だ。今回は、現時点でどのような連携が可能なのかを具体的に解説する。

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VAAIの利用

VAAIが利用可能なストレージ装置

 vSphere 4.1ではブロックアクセスに対してのみVAAIを実装している。つまりファイバチャネルもしくはiSCSIで接続されているストレージ装置のみが対象である。NFSには本バージョンでは対応していない。

 VAAIの使用権はvSphere 4.1 EnterpriseエディションもしくはEnterprise Plusエディションに含まれるという形で提供されている。

 ストレージ装置側もVAAIに対応している必要がある。vFull Copy、Block ZeroingならびにHardware Assisted Lockingはそれぞれ認証試験が用意されており、認証を取得済みの装置のみが正式サポート対象となる。また、対応しているファームウェアのバージョンも確認しておく必要がある。対応する機種、ファームウェアはコンパチビリティガイドから確認することができる。

 例えばEMC CLARiiON CX4-120(日本名 EMC CLARiX CX4-120)の内容を確認すると、VAAIがサポートされていることが分かる。

図10 VMware Compatibility GuideにおけるEMC CLARiiON CX4-120のフットノート。VAAIがサポートされていることが確認できる
図10 VMware Compatibility GuideにおけるEMC CLARiiON CX4-120のフットノート。VAAIがサポートされていることが確認できる

 次に該当するフットノートの番号(この場合は4)が付与されている構成を確認する。この例では、Flare 30と呼ばれるファームウェアが必要となることが確認できる。

図11 VMware Compatibility GuideにてVAAIがサポートされる構成を確認できる
図11 VMware Compatibility GuideにてVAAIがサポートされる構成を確認できる

 ストレージ装置の機種ごとに異なるふるまいを吸収するための仕組みとして、vSphere 4.1ではPluggable Storage Architectureと呼ばれるフレームワークを利用している。


 ESX 4.1 / ESXi 4.1をインストールすると、その際にデフォルトでいくつかのVAAIプラグインモジュールがインストールされ、適用するためのフィルタールールが有効化される。定義済みのフィルタールールと対応するVAAIプラグインは以下のコマンドで確認することができる。

[root@esx41 ~]# esxcli corestorage claimrule list --claimrule-class=Filter
  Rule Class  Rule   Class    Type    Plugin       Matches
  Filter      65430  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=EMC model=SYMMETRIX
  Filter      65430  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=EMC model=SYMMETRIX
  Filter      65431  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=DGC model=*
  Filter      65431  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=DGC model=*
  Filter      65432  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=EQLOGIC model=*
  Filter      65432  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=EQLOGIC model=*
  Filter      65433  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=NETAPP model=*
  Filter      65433  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=NETAPP model=*
  Filter      65434  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=HITACHI model=*
  Filter      65434  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=HITACHI model=*
  Filter      65435  runtime  vendor  VAAI_FILTER  vendor=LEFTHAND model=*
  Filter      65435  file     vendor  VAAI_FILTER  vendor=LEFTHAND model=*
  [root@esx41 ~]# esxcli corestorage claimrule list --claimrule-class=VAAI
  Rule Class  Rule   Class    Type    Plugin            Matches
  VAAI        65430  runtime  vendor  VMW_VAAIP_SYMM    vendor=EMC model=SYMMETRIX
  VAAI        65430  file     vendor  VMW_VAAIP_SYMM    vendor=EMC model=SYMMETRIX
  VAAI        65431  runtime  vendor  VMW_VAAIP_CX      vendor=DGC model=*
  VAAI        65431  file     vendor  VMW_VAAIP_CX      vendor=DGC model=*
  VAAI        65432  runtime  vendor  VMW_VAAIP_EQL     vendor=EQLOGIC model=*
  VAAI        65432  file     vendor  VMW_VAAIP_EQL     vendor=EQLOGIC model=*
  VAAI        65433  runtime  vendor  VMW_VAAIP_NETAPP  vendor=NETAPP model=*
  VAAI        65433  file     vendor  VMW_VAAIP_NETAPP  vendor=NETAPP model=*
  VAAI        65434  runtime  vendor  VMW_VAAIP_HDS     vendor=HITACHI model=*
  VAAI        65434  file     vendor  VMW_VAAIP_HDS     vendor=HITACHI model=*
  VAAI        65435  runtime  vendor  VMW_VAAIP_LHN     vendor=LEFTHAND model=*
  VAAI        65435  file     vendor  VMW_VAAIP_LHN     vendor=LEFTHAND model=*
  [root@esx41 ~]#
画面1 ESX 4.1に標準で含まれるVAAIプラグイン

 標準で収録されているプラグインが利用可能な機種を使用している場合は、利用者は特に何も設定を行う必要はない。対応するストレージ装置が検出された場合、自動的に対応するプラグインがアタッチされ、VAAIが利用される。

 上記以外の機種の場合は、構成手順などはストレージ装置の提供ベンダから提供されるため、ストレージ装置の購入先にご確認頂きたい。

 VAAIが有効化されているデバイス一覧を出力するには以下のコマンドを実行する。

[root@esx41 ~]# esxcli vaai device list
naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b
    Device Display Name: LEFTHAND iSCSI Disk (naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b)
    VAAI Plugin Name: VMW_VAAIP_LHN
naa.6000eb31c7643e2f00000000000000ca
    Device Display Name: LEFTHAND iSCSI Disk (naa.6000eb31c7643e2f00000000000000ca)
    VAAI Plugin Name: VMW_VAAIP_LHN
naa.6000eb31c7643e2f00000000000000c4
    Device Display Name: LEFTHAND iSCSI Disk (naa.6000eb31c7643e2f00000000000000c4)
    VAAI Plugin Name: VMW_VAAIP_LHN
[root@esx41 ~]#
画面2 VAAIが有効化されているデバイスの一覧を出力

 該当デバイスの詳細情報は同様にesxcliコマンドで確認することができる。Full Copy、Block Zeroing、Hardware Assisted Lockingの3種類のプリミティブの実行に成功したデバイスは、VAAI Status行に「supported」と出力される。

[root@esx41 ~]# esxcli corestorage device list -d naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b
naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b
    Display Name: LEFTHAND iSCSI Disk (naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b)
    Size: 98465
    Device Type: Direct-Access
    Multipath Plugin: NMP
    Devfs Path: /vmfs/devices/disks/naa.6000eb31c7643e2f000000000000000b
    Vendor: LEFTHAND
    Model: iSCSIDisk
    Revision: 8000
    SCSI Level: 5
    Is Pseudo: false
    Status: on
    Is RDM Capable: true
    Is Local: false
    Is Removable: false
    Attached Filters: VAAI_FILTER
    VAAI Status: supported
    Other UIDs: vml.02000000006000eb31c7643e2f000000000000000b695343534944
[root@esx41 ~]#
画面3 ターゲットデバイスの詳細情報を確認。該当デバイスに対してVAAIの3種類のプリミティブの実行に成功していることが確認できる

VAAIの有効化・無効化

 vSphere 4.1側は、デフォルトでVAAIを利用するように設定されている。対応するVAAIプラグインがアタッチされていない場合は従来通りの動作を行う。また、VAAIプラグインがアタッチされている場合でも、ストレージ装置側のファームウェアが未対応などの理由で処理に失敗した場合は、自動的に従来の動作にフォールバックして処理を継続する。

 何らかの理由でVAAIを無効化したい場合は、vSphere Clientの詳細設定より変更することができる。1で有効、0で無効に設定される。設定した内容は即座に反映されるため、ESXの再起動などは必要ない。

図12 Full Copy、Block Zeroingの有効化・無効化
図12 Full Copy、Block Zeroingの有効化・無効化
図13 Hardware Assisted Lockingの有効化・無効化
図13 Hardware Assisted Lockingの有効化・無効化

統計情報の確認

 ESX/ESXiの動作状況を出力するツールとしてesxtopというコマンドがある。またこれをリモートから実行するツールとしてはresxtopというものが提供されている。esxtopを用いるとさまざまな性能情報や統計情報を取得することができるが、ESX/ESXi 4.1ではこのコマンドの機能を拡張し、VAAIに関係する動作状況を出力させることもできるようになった。

 esxtopを実行すると、通常は以下のようにCPU情報に関するステータスが画面に出力される。

図14 esxtopコマンドを起動した状態。デフォルトではCPUに関する情報が出力される
図14 esxtopコマンドを起動した状態。デフォルトではCPUに関する情報が出力される

 esxtopにはさまざまな出力モードがあり、"u"を押下するとディスクデバイスに関する統計情報を出力するモードに切り替わる。

図15 uを押下するとディスクデバイスの統計情報を出力するモードに切り替わる
図15 uを押下するとディスクデバイスの統計情報を出力するモードに切り替わる

 ここで"f"を押下すると、出力するフィールドを選択する画面に切り替わる。VAAISTATS並びにVAAILATSTATS/cmdがVAAIに関係する統計情報である。これらを有効にすると、各コマンドの発行数や性能情報などを出力するようになる。

図16 表示するフィールドを選択
図16 表示するフィールドを選択
図17 VAAIに関係する統計情報がリアルタイムに表示される
図17 VAAIに関係する統計情報がリアルタイムに表示される

 esxtopの使用方法の詳細、ならびに各統計情報の意味などは、esxtopのmanページをご参照いただきたい。


 今回はvSphere 4.1の新機能であるVAAIを紹介した。極めて妥当な方向性であり、また大きな効果が期待できるアプローチであることがお分かりいただけたかと思う。VMwareを取り巻くエコシステムは大変活発になってきており、VAAIはその大きな成果といえる。今回のリリースでは基本的な3種類のプリミティブの連携にとどまったが、将来的にはより踏み込んだ内容も計画されている。

 次回は引き続きvSphere 4.1のストレージに関する新機能を紹介する。


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