主要サーバ仮想化ソフトウェアであるVMware vSphereがマイナーバージョンアップした。2010年7月に登場したVMware vSphere 4.1には、玄人受けのする各種の機能拡張や新機能が追加されている。これらを紹介する
2010年7月13日、VMware vSphere 4.1のリリースが正式にアナウンスされ、同日に出荷開始となった。vSphere 4から約1年、バージョン番号は「4.1」と控えめな更新ながら、各コンポーネントは強化され、またいくつかの重要な新機能が導入された、戦略的なリリースとなっている。本連載ではvSphere 4.1で導入された新機能を中心に、最新の仮想インフラストラクチャのテクノロジーを紹介する。
VMware vSphere 4.1はVMware ESX 4.1とVMware vCenter Server 4.1で構成される。これまで同様、各物理マシン上で直接動作するハイパーバイザとしてVMware ESXが提供され、仮想化そのものを行う。また、1個以上のESXを管理するための管理サーバとしてVMware vCenter Serverが提供され、仮想化されたインフラストラクチャの統合的な管理を行う。
まず始めに、vSphere 4.1で提供されるエディションと、それぞれのエディションで利用可能となる機能について紹介しておこう。
まず、これまで「ESXi Single Server」という名称で提供されていた無償エディションが「vSphere Hypervisor」に名称変更された。内容はこれまでの無償版ESXiと同様で、機能を限定した無償版ライセンスを提供するというものだ。ESXiのバイナリ自体は上位エディションと同一のものを利用する。なお、無償エディションでは従来型サービスコンソールありのESXの利用は許可されず、ESXiのみが利用可能という点においても従来同様である。
Small Business Kitsとして、2種類のエディションが提供されている。Essentials KitとEssentials Plus Kitである。これらはどちらもESXホスト3台分と、vCenter for Essentials 1インスタンス分のライセンスがセットになった商品である。ただし、単一ESXホストあたり、物理CPU 2個までとされている(つまり合計で6 CPUまで利用可能となる)。単一物理CPUあたりの価格を計算するとそれぞれ83ドル、583ドルとなり、比較的購入しやすい価格帯の製品となっていることが分かる。特筆すべきはEssentials Plus KitにvMotionの利用権が含まれるようになったことである。vMotionは仮想マシンのライブ・マイグレーションを可能にする機能で、これまではAdvanced以上のエディションに含まれる形で提供されてきた。vSphere 4.1ではEssentials Plus Kit以上のエディションで利用可能になったため、仮想化のメリットをより幅広いユーザーが享受できるようになった。
「Mid-size and Enterprise Business Editions」と総称されているのはESXを動作させるシステムの物理CPU数単位で課金・購入するタイプのエディション群で、vCenter Serverは別売りとなる。そのうちのStandardエディションにvMotionの利用権が含まれるようになったことが大きな変更点である。また、以前はEnterprise Plusでのみ提供されていた「サードパーティ製マルチパス機構のプラグイン」がEnterpriseエディションでも利用可能となっている。
仮想シリアルポートコンセントレータ、VAAI、Storage I/O Control、Network I/O ControlはvSphere 4.1の新機能である。それぞれの詳細は次回以降の連載で別途解説予定である。
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