VMware vSphere 4.1では、ネットワークの資源管理をより適切に実現するための機能「Network I/O Control」が導入された。また、NIC Teamingのロードバランスアルゴリズムとして、「Load Based Teaming」と呼ばれる新しいアルゴリズムが利用可能となった。今回はこの2つの新機能について解説する。
サーバの処理能力が向上するのに比例して、仮想マシンの集約密度も向上する。これはより広帯域のネットワーク環境が求められるということを意味する。これに前後するかのように、近年では10Gbitsイーサネットも普及し始めている。最近では10Gbitsイーサネットのコントローラやスイッチを筐体内に統合するブレードサーバなども登場し、本格的な普及期に入ったといえるだろう。
10Gbitsイーサネットに代表されるような広帯域のネットワークインフラを前提としてシステムを構築する場合、さまざまな種類のデータ通信の統合化を検討する場合が多いだろう。仮想マシン自体が利用するネットワークに加え、管理ネットワーク、iSCSIやNFSなどのストレージネットワーク、vMotionやVMware FTが利用するデータ転送なども統合したいと考えるはずだ。
単純に統合するだけでよいのであれば簡単だが、本格的な運用を想定した場合、I/O媒体を統合するだけでは機能が不足する。例えばストレージのトラフィックが帯域を占有してしまい、仮想マシン全体がスローダウンするような状況は避けなければならない。用途ごとに、一定の帯域が保障されるような仕組みが必要になるというわけだ。
ネットワークの資源管理ということでは、以前のリリースにおいても「トラフィックシェーピング」という機能を提供してきた。これは仮想ポートもしくはポートグループごとに利用可能な帯域の上限値を指定する機能で、標準仮想スイッチでは送出トラフィック、分散仮想スイッチでは送出・受信それぞれのトラフィックについて設定することができる。ただ、トラフィックシェーピングはあくまでも「利用可能な上限値」を制御する機能であるため、空いている帯域を別の用途に転用することができない。例えばiSCSIとvMotionのネットワーク使用率が低い時間帯が訪れたとしても、他の用途の仮想アダプタはそれ自体に設定されているトラフィックシェーピングの上限値を上回ることはできない。つまり、「空いた帯域を他の用途に転用できない」という制限がある。
より理想的なネットワークの資源管理を実現したい場合、「資源の取り合いになったときはあらかじめ設定しておいた比率でバランスされ、資源が余っている状況では動的にその資源を必要な用途に回すことができる」ことが望ましい。
CPU資源とメモリ資源に関しては、このような動的な資源管理機構が以前のリリースより提供されていた。vSphere 4.1ではネットワーク資源に関しても同様の機構が提供された。これがNetwork I/O Controlと呼ばれる機能である。
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