フレームリレーの基本を学習する:ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(35)(1/2 ページ)
本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
今回は、フレームリレーについて学習します。フレームリレーは、パケット交換方式のWANサービスの1つです。フレームリレーを使用すると、各拠点間を接続することができます。
現在では、WANサービスとしてIP-VPNや広域イーサネットが普及していますが、CCNA試験においてはフレームリレーを理解することも重要です。フレームリレーの概要、用語、トポロジ、そしてフレームリレーの設定について学習しましょう。
ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座 各回のインデックス
- 第1回 新CCNA試験について知ろう
- 第2回 ネットワークのABC、OSI参照モデルとプロトコル
- 第3回 データはどうやって伝わるの?
- 第4回 LANの基礎を丸かじり
- 第5回 データ同士の通せんぼ――コリジョンてなぁに?
- 第6回 TCP/IPを制するものはネットワークを制す
- 第7回 TCPで、確実&効率よくデータを送受信しよう
- 第8回 サブネットマスクの計算をマスターする
- 第9回 どこまでがネットワーク部? クラスフルとクラスレス
- 第10回 シスコ ソフトウェアの基礎を学習する
- 第11回 Cisco IOSモードの設定
- 第12回 Cisco IOSのモードの設定情報と識別情報
- 第13回 インターフェイスの設定とルータの初期化
- 第14回 ネイバーの検出とCDPによるデバイス管理
- 第15回 Telnetを使用したリモートデバイスの情報収集
- 第16回 SDMによるルータの設定と管理
- 第17回 MACアドレスとフレームで、スイッチの基本動作を学ぶ
- 第18回 スパニングツリープロトコル、動作の仕組み
- 第19回 スイッチにVLANを設定する
- 第20回 VLAN操作を容易にするVTPの機能
- 第21回 ポートセキュリティの設定コマンドと確認
- 第22回 ルータの経路学習とスタティックルートの設定
- 第23回 RIPによるルーティングテーブルの作成
- 第24回 リンクステートルーティング(OSPF)の設定と確認
- 第25回 高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習する
- 第26回 可変長サブネットマスク(VLSM)と経路集約
- 第27回 標準アクセスリストについて学習する
- 第28回 拡張アクセスリストについて学習する
- 第29回 無線LANの基礎について学習する
- 第30回 無線LANセキュリティの必要性と対策
- 第31回 NATとPATの設定方法を学ぶ
- 第32回 IPv4の枯渇に備えよ――IPv6の特徴と必要性
- 第33回 VPNの基礎を学習する
- 第34回 WANカプセル化プロトコルについて学習する
- 第35回 フレームリレーの基本を学習する
フレームリレーの概要
フレームリレーは、各拠点のルータと、フレームリレースイッチの間で動作します。フレームリレーでは仮想回線(VC)を確立してフレームを送信します。フレームリレーで使用されるフレームのヘッダには、DLCIという番号が入ります。
それでは、フレームリレーで使用される用語を説明します。
● ローカルアクセスレート
拠点のルータからフレームリレースイッチまでのアクセス回線の速度です。
● 仮想回線(VC)
バーチャルサーキットともいいます。PVC(Permanent Virtual Circuit)とSVC(Switched Virtual Circuit)があります。
通常、日本のフレームリレー網では、永続的に接続を確立するPVCを使用します。フレームリレーのネットワークを、フレームリレー網といいます。
● DLCI(Data Link Connection Identifier)
VCを識別する番号で、ローカルで意味を持つ番号です。例えば拠点1のルータAでは、DLCI100とDLCI400という番号でVCを識別します。
ローカルで意味を持つ番号なので、対向側の拠点とDLCIの番号が同じでも異なっても問題ありません。DLCIは一般的に、フレームリレー網を提供するプロバイダが割り振ります。
● CIR(Committed Information Rate)
プロバイダと契約する通信保証速度です。フレームリレー網が輻輳(ふくそう)していても、契約した速度は保証されます。
フレームリレー網を提供するプロバイダと契約する際に決定する値です。認定情報レートとも呼びます。
● Inverse ARP
リモートルータのIPアドレスに、ローカルのDLCIをダイナミックに対応付けるプロトコルです。
● LMI(Local Management Interface)
ローカル管理インターフェイスと呼びます。拠点のルータとフレームリレースイッチ間でやりとりする信号です。10秒ごとに送信して、ステータス保持などのキープアライブの役割があります。LMIにはCisco、ANSI、Q.933Aの3種類のタイプがあり、対向側とタイプを合わせる必要があります。
フレームリレーのヘッダには、ローカルDLCI番号と、リモートのIPアドレスが入ります。よって、フレームを送信するルータは、ローカルDLCIとリモートIPアドレスの対応付けを知っておかなければなりません。Inverse ARP、または手動で対応付けを行います。対応付けたものは、フレームリレーマップとして保持します。
確認問題1
問題
PVCを識別する番号で、ローカルで意味を持つ番号として正しいものはどれですか。1つ選択してください。
a.DLCI
b.IPアドレス
c.Inverse ARP
d.LMI
正解
a
解説
正解は選択肢aのDLCIです。Inverse ARPは、ローカルDLCIとリモートIPアドレスを自動的に対応付けるプロトコルです。LMIは、ルータとフレームリレースイッチ間でやりとりする信号で、キープアライブの役割を果たします。
確認問題2
問題
LMIのタイプとして正しくないものを1つ選択してください。
a.Q.933A
b.ANSI
c.Cisco
d.DLCI
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