相手に意図が伝わり、返信をもらいやすいメールとは?:文章コミュニケーション・リファクタリング!(3)(2/4 ページ)
「文章下手」が原因で、コミュニケーション不全に陥ったことはないだろうか? 言葉足らずで相手の誤解を招いたり、指示がまったく伝わっていなかったり……開発現場を改善するための「文章コミュニケーション」方法を紹介。
お願いしたいことをはっきりさせる
本文の冒頭で、メールを送信した意図を伝えたら、メールの受け手(読み手)にお願いしたいこと、つまり何をしてほしいのか、どのような行動をとってほしいのかということを具体的、明示的に記述する必要があります。
受け取ったメールにこの部分がなかったら、受け手はメールの送信者がどういう意図でメールを送ってきたのかは理解できても、何をしたらよいのか分からなくなってしまいます。
また、お願いしたいことが書いてあったとしても、読み手に判断を委ねたりするようなあいまいな表現になってしまっていると、読み手はおそらくメールに目を通すだけで終わってしまうでしょう。そして、後日、送り手が自分が期待したように読み手が行動していないことが判明し問題になるのです。
さらに、いつまでに行動してほしいのか、期限を明確に記述しておくことも大切です。期限を指定するのは、最初から催促しているようで書きづらいと考える人もいるでしょう。しかし、書かないと相手に迷惑をかけることにもなります。例えば、急ぎの用なのに期限を指定せずにメールを出したら、受け取った相手は「この仕事は後回しでいいだろう」と思ってしまう可能性が高くなります。そして、自分が望む締め切りが近くなったところでトラブルになってしまうわけです。
それでは、相手にお願いしたいことをはっきり伝えるという点で悪い例と良い例を比較してみましょう。まずは悪い例です。
A社より新しく画像解析ソフトが発売されましたので、
技術情報や関連資料を添付します。
よろしくご検討をお願いいたします。
この例では「資料を送ります、目を通しておいてください」としか言っていません。受け手は、必ず読まなければならないとは思わないでしょう。永遠に読まないかもしれません。もう1つ悪い例を挙げます。
A社より新しい画像解析ソフトが発売されました。
このソフトは、貴社と当社が協同で開発を検討している生態観測システムに採用できるのではないかと考えています。
添付ファイルで、技術情報や関連資料をお送りいたしました。
内容をチェックして、採用できるかどうかをご検討していただき、
結果をお知らせいただけないでしょうか。
この例では、結果を知らせてほしいとお願いはしていますが、期限をはっきりさせていません。受け手は、時間に余裕ができたときに読んで、検討するでしょう。それは、ずっと先のことになるかもしれません。では、良い例を見てみましょう。
A社より新しい画像解析ソフトが発売されました。
このソフトは、貴社と当社が協同で開発を検討している生態観測システムに採用できるのではないかと考えています。
添付ファイルで、技術情報や関連資料をお送りいたしました。
内容をチェックして、採用できるかどうかのご検討をお願いいたします。
結果を、次回の客先とのミーティングで報告したいと考えていますので、
5月25日の17時までに検討結果をお知らせいただけないでしょうか。
このように、相手にお願いしたいことだけでなく、いつまでにしてほしいのかを明示的、具体的に記述しておかなければなりません。期限を明示しないで、相手がいつまでも行動に移さないと感じて相手に催促すると不快に思われるでしょう。最初から期限を提示していれば、相手もそれに合わせることができ、催促しても納得してくれるでしょう。感情の行き違いをなくすためにも、期限を明記しておくことは大切です。
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