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相手に意図が伝わり、返信をもらいやすいメールとは?文章コミュニケーション・リファクタリング!(3)(3/4 ページ)

「文章下手」が原因で、コミュニケーション不全に陥ったことはないだろうか? 言葉足らずで相手の誤解を招いたり、指示がまったく伝わっていなかったり……開発現場を改善するための「文章コミュニケーション」方法を紹介。

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相手が反応しやすいように案を提示する

 よくあるメールの用途として、日時のアポイントメントの調整が挙げられます。打ち合わせ(ミーティング、会合など)の日時のアポイントメントをメールで調整するということはよくあることでしょう。

 このような場合、両者にとって都合がよいと考えられる候補を具体的に明記しましょう。すると、相手はそれに反応して選べばよいだけなので、物事を決めやすくなります。このときに、候補を提示せずに相手に決定を委ねたりするのはいけません。相手は決定を任されても簡単には決めれないものです。返信を出しにくくなってしまい、コミュニケーションがスムーズに行かなくなります。調整を持ちかけるときは、持ちかける側から具体的な案(候補)を提示することが、コミュニケーションを円滑にするための基本です。

 相手に遠慮して具体的な決定を任せるようなメールを書く人もいますが、かえって相手を困惑させるだけです。必ず送り手から具体的な候補を提示するようにしましょう。

 それでは、ここでも悪い例と良い例を比較してみましょう。まずは悪い例です。

N社のコンテンツ配信システムの拡張が決まりました。
まだN社からの正式な発注はありませんが、実施することは確実です。
そこで、以前からお話ししていたように、貴社からの開発要員の
増派をお願いすることになります。
要員のスケジュールや人数について、ご相談させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
よろしくお願いいたします。


 この例では、打ち合わせを打診しているだけです。相手は、「了解しました」としか答えようがありません。もう1つ悪い例をお見せします。

N社のコンテンツ配信システムの拡張が決まりました。
まだN社からの正式な発注はありませんが、実施することは確実です。
そこで、以前からお話ししていたように、貴社からの開発要員の増派をお願いすることになります。
要員のスケジュールや人数について、ご相談させていただきたいのですが、いつがよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。


 この例を見ると、自分が主体になって打ち合わせのスケジュールを調整しなければならないのに、自分では何もせずに相手に決定を委ねてしまっています。これでは相手も具体的な返事のしようがありません。また、主体性のない人だと思われかねません。それでは、良い例をご覧頂きましょう。

N社のコンテンツ配信システムの拡張が決まりました。
まだN社からの正式な発注はありませんが、実施することは確実です。
そこで、以前からお話していたように、貴社からの開発要員の増派をお願いすることになります。

要員のスケジュールや人数について、来週にも打ち合わせをしたいと考えています。
来週の月曜日から水曜日でご都合のよい日をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。


 このように、具体的な日程の候補を提示すれば、相手も決定しやすいでしょう。その結果、相手からの返信が早くやってくるということになります。

 ただし、付き合いの浅い相手や顧客に対しては、打ち合わせありきで話を進めずに、まず「打ち合わせをお願いしたい」旨を打診するメールを送って、相手の了解を得てから具体的な日時の調整を進めるようにします。こういう手順を踏まないと、礼を失して、相手に不快感を抱かせることになりかねません。

質問は答えやすい形にする

 質問をして回答を求めるメール、相手から何かを聞き出すためのメールなどでは、答えやすい形にして質問を送ることが大切です。相手が答えに窮するような形の質問では、きちんとした答えが返って来ることは期待できないでしょう。まずは以下の2つの例を見てください。

システム導入に伴う貴社ユーザー研修の日程を
決めなければなりません。
貴社として都合のよい日時を決定して、
至急お知らせいただけますようお願いいたします。


操作マニュアルはPDF形式のファイルとして配布いたします。
配布先を至急にお知らせいただけますようお願いいたします。


 このような質問では、相手も簡単には答えられません。答えはなかなか返ってこないでしょう。ビジネスのスケジュールを遅らせる原因にもなってしまいます。同じことを質問するにしても、できるかぎり答える側に負担がかからないように配慮して記述することが重要です。以下の2つの例をご覧ください。

システム利用開始の期日、貴社の週間の業務スケジュール、
そのほか貴社の各部門からお聞かせいただいた種々の事情を基にして、
今回のシステム導入に伴う貴社ユーザー研修の日程の候補を
以下のように考えてみました。

  • 9月13日(水)9:00〜12:00
  • 9月14日(木)14:00〜16:00
  • 9月20日(水)9:00〜12:00
  • 9月21日(木)14:00〜16:00

これらのうち、貴社として最も都合のよいものを選んで、
お知らせいただけますようお願いいたします。
ご返事は8月25日(金)17:00までにお願いいたします。


操作マニュアルはPDF形式のファイルとして配布いたします。
配布先は、以下の3か所と考えていますが、
これでよろしいでしょうか。

  • 貴社システム管理グループ長 高田秀彦様
  • 株式会社○○システム管理担当者 高坂慎様
  • △△株式会社システム管理担当者 田村和志様

上記以外にも配布希望先がおありでしたら、お知らせください。
ご返事は5月20日(木)17:00までにお願いいたします。


 このように具体的な選択肢を提示して、その中から選んでもらったり、「はい」、「いいえ」で答えられるような質問であれば、相手は簡単に答えることがでます。短時間で答えが返ってくるでしょうし、ビジネスも円滑に進むでしょう。

 ただし、ここで挙げる具体的な選択肢は、思いつきで記述するのではなく、相手にとって最適だと考えられるものを提示しなければなりません。そのためには相手についてよく知っておく必要があります。

 先にも述べましたが、回答の期限を明示することも重要です。期限を明示せずに、回答を急かしたりすれば相手は不快に思うでしょう。最初から期限を提示しておけば、相手もそれに合わせることができ、後になって回答を催促しても納得してくれるでしょう。

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