WindowsでGPT保護パーティションを削除する:Tech TIPS
ディスク・パーティションの管理方式には、MBR形式とGPT形式の2種類があり、現在のWindows OSではどちらの方式でも利用できる。GPT形式は主に2Tbytes以上のディスクを管理するために利用される。古いWindows OSではMBR形式しか扱えず、GPT形式のディスクを接続すると「GPT保護パーティション」だけが見える。Windows XPでGPT保護パーティションを削除するには、diskpartのcleanコマンドを利用する。
対象OS:Windows XP
解説
最近では大容量のディスクも安価になり、2Tbytesを超えるような大容量のディスクを利用することも珍しくない。別記事「2Tbytes超ディスクをデータ用ストレージとして利用する」では、2Tbytes超の大容量ディスクを利用する方法と、そこで使われる新しいパーティション管理方式である「GPT(GUID Partition Table)」について解説している。従来使われていた「MBR(MBR(マスター・ブート・レコード)」では2Tbytes超のディスクを管理できないため、現在のWindows OSではGPT方式も利用できるようになっている。ディスクの容量に応じてGPT形式でディスクをフォーマットすれば、大容量のディスクでも問題なく利用できる。ただしGPTは2Tbytes超のディスクだけに利用できる技術ではなく、もっとサイズの小さいディスクで利用してもよい。Windows OS以外のシステム、例えばLinux(を使ったシステム)やMac OS X、NAS機器、ディスクを内蔵した家電機器などでは将来性などを考えて、ディスクのサイズに関わらず、現在ではGPT形式を利用していることがある。
だが32bit版のWindows XPではGPT方式のディスクはサポートされていない(64bit版のWindows XPではサポートされている)。そのためGPT形式のディスクを接続してもその内容(パーティション構成)は表示されないし、パーティションの作成や削除もできない。つまり、そのままだとWindows XPではまったく利用できないディスクとなる。Windows XPではGPT形式のディスクを作成できないのでGPTのディスクを使う機会はないだろうが、ほかのシステムで使っていたディスクをWindows XPに接続すると、このような状態になることがある。
次の「コンピュータの管理」の画面は、GPT形式のディスク(サイズは500Gbytes弱)を32bit版のWindows XPにUSB経由で接続したところである。「GPT保護パーティション」と表示され、新しいパーティションの作成も保護パーティションの削除もできない。このディスクに対してユーザーは何も操作できない。
Windows XPから見たGPT保護パーティション
Windows XPでは、GPT保護パーティション(保護MBR)のみが見えるが、このパーティションは削除したり、サイズを変更したりできない。ディスクを不用意に書き換えないようにするために、このようなMBRが定義されている。
(1)GPT形式でフォーマットしたディスク。ディスクを常にGPT方式で管理することは可能だが、Windows OSではGPT形式は2Tbytes以上のディスクでのみ使われることが多い。32bit版のWindows XPやそれ以前のWindows OSではGPT方式はサポートされていない(サポートはされていないが、このように「GPT保護パーティション」と表示はされる)。
(2)GPT保護パーティション。実際のパーティションはGPT方式で管理されているので、Windows XPでは内容を見ることはできない。
(3)何も操作できない。この管理画面からは削除することも不可能である。
(4)空き領域は100%あるように表示されているが、ここで新たにパーティションを確保することはできない。
「GPT保護パーティション(保護MBRともいう)」とは、GPT形式のディスクの先頭に書き込まれている、特別なパーティション・データのことである。GPT形式を理解しないツールなどが間違ってGPT形式のディスクに書き込まないように、ディスク全体がすでに確保済みパーティションに見えるようにして、ディスクを保護している。このディスクをGPT方式でアクセスするとパーティションを操作できるが、MBR方式でアクセスすると何も操作できない。
このようなディスクをWindows XPで利用したければ(通常のMBR方式で管理させたければ)、ディスクの管理情報を削除して未使用状態に戻せばよい(もちろんパーティションに保存されていたデータにはアクセスできなくなる)。本TIPSでは、その手順を解説する。
操作方法
ディスクの管理情報をすべて削除して、完全に初期化するには、diskpartコマンドを利用する。
まずコマンド・プロンプトを開き、「diskpart」コマンドを起動する。そして「list disk」でディスクの一覧を確認後、「sel disk <数字>」でディスクを選択して(<数字>には一覧で確認したディスクの番号を指定する。間違えないように注意)、「clean」コマンドを実行する。cleanコマンドは確認なしですぐに実行されるので注意していただきたい。
C:\>diskpart …コマンドの起動
Microsoft DiskPart version 5.1.3565
Copyright (C) 1999-2003 Microsoft Corporation.
コンピュータ: WINXPPC0001
DISKPART> list disk …ディスク一覧の表示
Disk ### Status Size Free Dyn Gpt
-------- --------------- ------- ------- --- ---
Disk 0 オンライン 233 GB 0 B
Disk 1 オンライン 466 GB 0 B …対象のディスク。空きは0になっている
DISKPART> select disk 1 …ディスク1を選択。番号に注意
ディスク 1 が現在選択されているディスクです。
DISKPART> list partition …内容(パーティション・データ)を確認してみよう
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 不明 466 GB 512 B …理解できない形式なので不明となっている
DISKPART> clean …初期化する。確認なしですぐに実行されるので注意
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。 …結果
DISKPART> list disk …内容の再確認
Disk ### Status Size Free Dyn Gpt
-------- --------------- ------- ------- --- ---
Disk 0 オンライン 233 GB 0 B
* Disk 1 オンライン 466 GB 466 GB …全部空き領域になっている
DISKPART> exit …コマンドの終了
DiskPart を終了しています...
C:\>
以上の操作でディスクの管理領域は削除され、Windows OSからは未初期化状態のディスクとして見えるようになる。あとは初期化して、パーティションを確保すればよい。
初期化されたディスク
diskpartのcleanコマンドを実行したディスクは、未初期化状態になるので、この後、初期化とパーティションの確保を行う。
(1)未初期化状態になったディスク。ここを右クリックする。
(2)ポップアップ・メニューから[ディスクの初期化]を行うと、ディスクの管理方法がMBR方式になり、パーティションの確保などができるようになる。
なお、この操作を行うとディスクの内容は削除されるので、元のデータはアクセスできなくなる。必要ならばこの初期化操作を行わず、GPT形式やその中のファイル・システムを理解できる、別のOSを利用してデータをサルベージすること。
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