基盤からアプリまで――NECがビッグデータをサービスとして提供:仮想デスクトップならぬ「仮想スマホ」も発表
NECは11月8日から開催している「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」に合わせ、複数の新サービスを発表している。
NECは11月8日から開催している「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」に合わせ、複数の新サービスを発表している。
11月7日には、ビッグデータ事業の強化を表明した。同社は2012年2月に、データベースソフトウェア「InfoFrame Relational Store」をリリースするとともに、本格的にビッグデータ事業に取り組む体制を整える方針を発表している。サーバやネットワークといったインフラの上に、センサーなどを通じて情報を収集する「M2Mネットワーク」とデータ処理を行う「InfoFrame」、データ分析のためのレイヤを構築し、ソリューション展開してきた。
今回の事業強化のポイントは、こうしたビッグデータ基盤上で目的別に特化したサービスをパッケージ化し、提供することだ。基盤に加え、分析エンジンやアプリケーション、テンプレートまで含めて提供することで、ビッグデータ導入のハードルを下げるという。当初は「顔認証技術活用マーケティングサービス」「不審者監視セキュリティサービス」「テレマティクスサービス」の3種類から開始する。
顔認証技術活用マーケティングサービスでは、顔照合技術を活用して、店舗などに来店する人物の年齢や性別、リピート回数などを測定し、来店者の傾向を分析。マーケティング活動のデータとして利用できるようにする。不審者監視セキュリティサービスでは逆に、カメラ画像から顔画像を切り出して、特徴とともにデータベースに蓄積。目撃情報などを基に検索し、不審者を絞り込めるようにする。またテレマティクスサービスは、自動車に組み込まれたセンサーからさまざまな情報を収集し、ユーザーの行動を可視化。それに基づいて広告配信などを行えるよう支援する。なお、一連のセンシティブなデータは暗号化され、一定期間経過後には廃棄する形でセキュリティを担保するという。
「基盤に加え、NECの独自技術を基に開発したさまざまな分析エンジンをフルに活用し、非構造データの分析、検証を行い、顧客に貢献できることが強み」と、同社執行役員の保坂岳深氏は述べた。例えば顔認証技術活用マーケティングサービスや不審者監視セキュリティサービスでは顔画像解析エンジンが、テレマティクスサービスでは行動分析エンジンが重要な役割を担っている。今後もサービスを拡張し、データの相関関係を自動的に発見して予兆を見つけ出す「インバリアント分析」や異種混合学習エンジンなどを活用して、「評判分析」「エネルギー予測」といったサービスメニューを追加する予定という。
これらの分析エンジンは同社のビッグデータ基盤に搭載され、データ分析・活用方法のコンサルティングサービス「ビッグデータディスカバリープログラム」にも活用される。この環境強化により、仮説を立ててからそれを検証するまでに要する期間を最大50%短縮できると同社は説明している。
NECはほかにも、仮想化した業務用スマートフォン環境をクラウド上に構築し、個人所有の端末から安全に利用できるようにする「NEC Cloud Smartphone」も発表している。ちょうど仮想デスクトップ環境のように、Android搭載のスマートフォンから利用できる仮想スマートフォンを用意し、画面情報のみ転送する仕組みで、情報漏洩などのリスクを減らせることがメリットとなる。
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