あらためて知っておくべき、バックアップ最新基礎知識:業務で使えるバックアップの基礎知識(1)(2/3 ページ)
仮想環境など、より高次の環境が当たり前となった現在、バックアップ工程を検討する際にも従来とは比較にならないほど複雑な検討が必要になりつつあります。本連載では、バックアップの常識を入れ替える知識を紹介していきます。
「RPO」「RTO」「バックアップウィンドウ」
バックアップを計画的に考えるには、いつの時点のデータを、どれくらい時間をかけてバックアップし、また、障害が起きた際に復旧までどれくらい時間をかけてよいか、といった点を考える必要があります。これが「RPO」「RTO」「バックアップウィンドウ」とそれぞれ呼ばれるものです。
RPO(Recovery Point Objective)
RPOとは、バックアップを取得するタイミングや頻度のことを指します。
障害が発生した場合には、このRPOのタイミングまでデータがまき戻る形になります。
RPO(Recovery Point Objective)の例
毎週火曜日の24時に全てのデータをバックアップ
RTO(Recovery Time Objective)
RTOとはバックアップからデータを戻す(リストア*1する)のにかかる時間に加え、その後の動作テストなどを経て、業務が開始できるようになるまでの時間です。
障害が発生した場合に、業務が停止する時間に相当します。
RTO(Recovery Time Objective)の例
リストア完了に5時間+動作テストに2時間 = RTOは計7時間
バックアップウィンドウ
バックアップウィンドウとは、バックアップにかかる時間、かけられる時間を指します。
バックアップウィンドウの例
業務終了、従業員退社後の午後23時30分から出社してくる朝7時までの間はバックアップウィンドウとしてバックアップを実行可能
これら、「RPO」「RTO」「バックアップウィンドウ」を図示化するとおおむね以下になります。
業務におけるバックアップ計画でのポイント
理想としては、「RPO」はできる限り頻繁に実施したいところです。また、「RTO」も限りなくゼロに近づけたいところです。しかし、バックアップ速度やバックアップウィンドウの制約がありますので、うまくバランスをとってそれぞれの計画を立てる必要があります。
このように、企業におけるバックアップを考える場合、バックアップを取ることだけではなく、データを戻すところも含めて、計画を立てることが要求されます。
バックアップツールをどう選択するか?
前述の「RPO」「RTO」「バックアップウィンドウ」およびバックアップ運用のゴールを設定したら、次はバックアップツール選びが必要です。
以前に比べ、幅広くバックアップツールが用意されており、シンプルなものから多機能なものまでさまざまですが、バックアップ対象の単位、バックアップの仕組みの面で見ると、大きく分けて、以下の2種類に分類できます。
イメージバックアップ
ドライブ単位でバックアップ対象を選択し、イメージバックアップと呼ばれる方式で、ディスクイメージ単位でバックアップを行います。一般的に、システムのバックアップ/復旧に優れます。
ファイルベースバックアップ
ファイルやフォルダ、アプリケーション上のデータ単位でバックアップ対象を選択し、OSやアプリケーションが持つAPIを介してバックアップを行います。一般的に、データのバックアップ/リストアに優れます。
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