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「業界で生き残る」チームに必要な条件とは?ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(1)(1/2 ページ)

業務で目的を達成するためには、活力あるチームを作り、運営していくことが重要だ。本連載では、ITエンジニアのリーダーシップスキルの向上に役立つツールや考え方を詳しく紹介する。

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※この連載は、『ITエンジニアのためのチームリーダーシップ実践講座』(上村有子著)の第1章〜第3章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。

生き残るチームとは?

 進化論で有名なダーウィンの言葉に、次のようなものがあります。

この世で生き残る生き物は、最も強いものか? そうではない。最も頭の良いものか? そうでもない。

それは、変化に対応できる生き物である。

 変化の早いIT業界で働く皆さんにとって、「業界で生き残るのは変化に対応できる組織である」ということは、今さら説明の必要もなく、身近に日々実感している事実でしょう。例えば、汎用機メーカーとしてかつては世界的に強固なポジションを築いていた巨大会社でも、オープン系やWebを活用したシステムなど、トレンドに乗って自らのビジネスを変革していかない限り、企業の存続は難しくなっています。

 身近な例としてはWebサイトもそうです。どんなにお金を掛け、強固な防御システムを構築しても、アップデートを怠れば、たちまち新種のウイルスの餌食になってしまいます。自衛策を研究し、対抗手段を進化させていかないと、安全なサイトとして生き残ることは到底できません。

組織と変化の科学

 さて、組織の中で変化を起こすには何が必要でしょうか?

 まずは、人が活動するための自由が必要です。身動きがとれないほど活動が制限された環境では、変化は起こりようもありません。それぞれの人が、決められた範囲内で自由に活動することで、ぶつかり、跳ね返り、形や性質が変わります。活動するための熱やエネルギーも発生するでしょう。そうして、全体にわたってなんらかの変化を期待することができます。

 また、同じようなタイプの人ばかり集めても、突然変異が起こらない限り、大きな変化は起こりにくいものです。多彩なタイプの人で組織を構成することで、予想もしないような動きや、さまざまな変化が期待できます。

 外部からの危機に対してはどうでしょうか?

 活動が制限された状態だと、危険を感じても、逃げることも避けることもできず、みんなで心中することになりかねません。あるいは、均一なタイプの人ばかりだと、脅威に対してみんなが同じ反応をとってしまいがちで、運が悪いと全滅してしまいます。その点、多種多様なタイプの人から構成された組織であれば、ある人が脅威に負けてしまっても、別の強みを持った人が、それに打ち勝つ力を発揮できます。

 変化の激しいIT業界では、この先、予測し得ないような荒波がいつ押し寄せてくるか分かりません。あらゆる危機に対して、事前に打つ手を準備しておくのは事実上不可能です。臨機応変に対処し、存続するためには、活性化した組織であること、多様性のある組織であることが必要不可欠な条件です。

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