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チーム活性化のために、リーダーが果たすべき役割ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(2)(1/2 ページ)

業務で目的を達成するためには、活力あるチームを作り、運営していくことが重要だ。本連載では、ITエンジニアのリーダーシップスキルの向上に役立つツールや考え方を詳しく紹介する。

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※この連載は、『ITエンジニアのためのチームリーダーシップ実践講座』(上村有子著)の第1章〜第3章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。

チームは、共通の目的を持つ人の集まり

 人が何人か集まったものを「グループ」と呼びます。では、グループとチームはどう違うのでしょうか?

 世の中ではいろいろな使われ方がされており、普段は厳密に区別する必要はありませんが、本連載では、以下のような認識で使い分けています。

  • グループ……何か共通点がある人の集まり
  • チーム………共通の目的を持つ人の集まり

 例えば、社員の中から30代の人を集めた場合、それはグループです。一方、社員の中からプログラム開発を担当させる目的を持って人を集めた場合、それを「チーム」と呼びます。会社の部や課はチームです。通常、課の下に開発グループとか基盤構築グループなど、グループを作ることがよくありますが、その場合も「開発」や「構築」という目的がはっきりしているのなら、本連載ではチームとして扱います。

 チームの中でも、期限が決められた目的を持つものは「プロジェクトチーム」です。例えば、納期が決まっている案件の開発を担当させる目的で人を集めれば、それはプロジェクトチームです。本連載でチームと書いた場合は、プロジェクトチームも含みます。

 皆さんが社内で使っているグループやチームとは多少認識が異なるかもしれませんが、企業で仕事をするために集められたグループであれば、社内であろうと、顧客企業の担当部署や協力会社のメンバーが含まれていようと、それらはすべてチームと考えてください。

図1 グループとチームとプロジェクトチームの関係
図1 グループとチームとプロジェクトチームの関係

重要! チームは共通の目的を持つ人の集まり。


リーダーは、メンバーを目標に向かって導く人

 リーダーを英語で表すと、Leader。「導く人」です。ある目標を目指して、率先して導いていく人がリーダーです。

 仕事の場合、単に目標を目指している(つもり)だけでは、利益に結び付くとは限りません。リーダーには、自らが導いて目的を達成し、成果を示すところまでが要求されます。

 「リーダーとは、成果を挙げるため、メンバーを目標に向かって導く人」と理解するといいでしょう。

リーダーは進むべき方向を指さす

 チームには目的があり、目標を目指します。チームのリーダーはその目標を常にしっかりと指さし、メンバーはみんな、リーダーであるあなたの指先を見ているというイメージをしっかり持ってください。

 ここでいうチームの目標とは、「チームの目的が達成されたか否かを確認するための目印」と考えてください。例えば、「技術力向上」を目的に掲げている場合、「年末までに、メンバー全員が○○資格を取得する」のように、目的の達成が判断できるような具体的な目安が目標です。

 リーダーは率先垂範、つまりお手本を示すのが1つの理想ですが、それは必須ではありません。IT業界では、メンバーの方が特定の分野で技術力や知識が勝っているケースはいくらでもあります。ですから、技術力や知識の不足を心配したり、プレッシャーを感じたりする必要はありません。

 リーダーの役割は、チームが機能し、活性化するにはどうしたらいいかを考えながら導くことです。時にはメンバーの横に付いたり、メンバーの後ろで後押しに回ることがあってもいいのです。いずれにしても、いつも進むべき方向を指さしているのがリーダーです。

リーダーは広い視野を持つ

 リーダーは、空間軸でも時間軸でも、広く大きな範囲を見渡すことが必要です。

 メンバーよりも少し高い位置から状況を見ているようなイメージを持つといいでしょう。メンバーが虫の目で、近い範囲のことしか見ていないとき、リーダーは鳥の目を持って、遠くを、そして全体を俯瞰する立場でなければなりません。

 リーダーはチーム内、部内、社内だけではなく、自分たちを取り巻く環境を常に意識する必要があります。目の前の問題にフォーカスしてしまうと、顧客の視点や業界の動向など、外部の動きを無視してしまいがちです。

 チームを活性化させるには、活性化の妨げになるような要因をリーダーが先回りして取り除いていく必要があります。そのためには、顧客はもちろんのこと、社内外の利害関係者との調整もリーダーの大切な役割です。問題が発生してから調整していたのでは、後手に回ってしまい、事が自分たちに有利に運びにくくなります。常日ごろ、アンテナを高く張って、周囲の状況に敏感であることも必要です。

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