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チーム活性化のために、リーダーが果たすべき役割ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(2)(2/2 ページ)

業務で目的を達成するためには、活力あるチームを作り、運営していくことが重要だ。本連載では、ITエンジニアのリーダーシップスキルの向上に役立つツールや考え方を詳しく紹介する。

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リーダーはメンバーを活性化させる

 リーダーは外の動きに対しては敏感でなければなりませんが、チーム内の動きにはおおらかであるべきです。リーダーがぎゅうぎゅうに締め付けると、メンバーは身動きが取れなくなってしまいます。活性化しようにも、動けなければ空気も対流しません。

 一方、メンバーの個性を生かし、枠内で自由に動けるようにすれば、撹拌(かくはん)や摩擦が発生します。活性化を持続させるようなエネルギーも自家発電することができます。リーダーには、多様性やメンバーの自律を重視する心掛けが必要です。

マネージャとリーダーの役割は異なる

 本連載では、リーダーの役割とマネージャの役割は異なるものと位置付けています。

 リーダーは「攻め」、マネージャは「守り」のイメージを持っていただきたいのです。リーダーが目標に向かってがんがんアクセルを踏むのに対し、時にはブレーキをかけるのがマネージャと考えてください。コスト管理、スケジュール管理、健康管理など、「管理」と名の付くものはマネージャの仕事です。

 チームが目標を達成できるよう、適切かつ順調に仕事ができるようにチームを守るのがマネージャの役割です。メンバーが仕事を一生懸命やったにもかかわらず、「コストが超過してしまった」「納期が大幅に遅れてしまった」「残業過多で体を壊してしまった」など問題があると、成果が色あせてしまいます。そうならないよう、日々コスト超過の傾向はないか、スケジュールは順調か、健康は良好かなど、マネージャによる管理が必要です。

 リーダーと対比して考える場合、「管理職や上司=マネージャ」ととらえるより、「タレントの付き人=マネージャ」をイメージするといいでしょう。

 仕事の現場では、リーダーとマネージャを兼任している人も多いと思いますが、その場合は、「自分は1人2役をしているんだ」との意識を持ってください。自分はマネージャの仕事しかやっていないのではないか? 管理ばかり厳しく、メンバーのやる気をそいでいないか? 逆に、自分はリーダーの役割しか果たしていないのではないか? 仕事熱心なのはいいが、みんな残業ばかりして誰もコスト管理していないのではないか? などと、ときどき自己チェックしてみましょう。

 サッカーでも野球でも、攻守のバランスの取れたチームが強いチームなのです。

チーム活性化のためにリーダーがすべきこと

 前回述べたとおり、チームを活性化させるためには、次の2点が重要です。

  • チームリーダーの意向をメンバーに浸透させる
  • メンバー同士の意思疎通を良くする

 「リーダーの意向は、黙っていてもメンバーがいつかきっと分かってくれる」なんて悠長なことをいってはいられません。リーダーが積極的に言葉や態度でアピールしなければ、相手に正確かつタイムリーに思いを届けることはできません。リーダーは、周囲にとって「分かりやすい人」であるべきです。

 また、「リーダーが放っておいても、そのうちメンバー同士、勝手に意思疎通してくれるだろう」というのも虫が良過ぎます。最初は、リーダーが意図的に、意思疎通のための手段や場を提供して、きっかけを作らなければなりません。チームに共通言語や共通認識を持たせるためには「仕掛け」が必要であるということを、十分認識すべきです。

 これらについては、次回以降、具体的な策を説明します。

筆者プロフィール

上村有子

上村有子●エディフィストラーニング インストラクター。外資SIer、証券会社を経て2000年に野村総合研究所入社。現在、情報化戦略、コンプライアンス、ビジネスコミュニケーション領域のコース開発、講師。専門分野はBA(ビジネスアナリシス)、コミュニケーション。



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