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OpenStack、進撃の“IT巨人”が本気で推進/OpenStackの「NOVA」とは?たまおきのOpenStackウォッチ(2013年10月版)(1/2 ページ)

大物が続々参入で盛り上がりつつあるOpenStack界隈。今年の動きを整理しておこう。OpenStackコンポーネントは「Nova」を解説。

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 日本仮想化技術のたまおきです。

 友人から「筆者の名前がなぜ“ひらがな”なんですか?」という問い合わせをいただきましたが、執筆するときは以前から“ひらがな”でした。ペンネームのように使えて本人は気に入っています。友人の間ですら浸透していないので、この連載を頑張りまして「たまおき のぶゆき」の認知を上げるように努力したいと思います。

VMware vCloud Hybrid Serviceの登場

 1つ目はVMware vCloud Hybrid Service(本記事ではvCHSと呼ぶ)の登場の話です。2013年8月のVMworldでヴイエムウェア社が発表したvCHSに関心が集まっています。VMware vSphere基盤の上に構築されたパブリッククラウドサービスで、マルチテナント型の「Virtual Private Cloud」と専用サーバを立てる「Dedicated Cloud」の2種類のサービスが存在します。


VMWorldで講演するヴイエムウェアCEOのパット・ゲルシンガー氏関連記事より)

 vCHSのメリットは既存のvSphereユーザーにとってハイブリッドクラウドの構築がしやすいことが挙げられます。

 vSphereの仮想マシン群を少ない手順で移行でき、vSphereクライアントとvCloud ConnectorプラグインでvSphereとvCHSを統合管理できます。ハイブリッドクラウド環境の統合管理ツール「vCloud Director」から、vCHS上のクラウド環境を自社データセンターのように管理できます。

 遠隔サイトへのバックアップ用途での利用が見込まれる、VMware Site Recovery Managerを用いた災害対策サービスの提供も気になるところです。日本でのvCHSのサービス展開は2014年開始予定です。

 vSphereで仮想化環境を構築した方の次の一手としてvCHSは1つの選択肢になり得る可能性があります。

IBMとHPのOpenStackへの取り組み

 2つ目はIBMとHPのOpenStackへの取り組みをお伝えします。IBMとHPはOpenStackを推進するIT業界の巨人です。両社が得意にしているエンタープライズ領域は、今後、Amazon Web Services(AWS)が進出してくることが予想されています。これに対してIBM、HPの両者はそれぞれの強みを生かした異なるアプローチを採用するようです。ここ半年間の発表やプレスリリースを整理しながら両社の取り組みをまとめてみます。

 IBMは2013年3月に自社によるIaaS基盤の開発を止め、OpenStackベースのIaaS基盤の提供を発表しました。

 この発表は、IBMが2000年にLinuxを推進したときの動きに似ています。彼らにはLinuxやEclipseでの成功体験もあるので、期待は高まります。2013年3月の発表に引き続き、7月にはメインフレームでOpenStackに対応する発表も行っています。

 一連の流れはクラウドファースト/モバイルファーストの戦略の中に位置づけられ、PureSystemsなど他の製品やサービスもOpenStackに対応することが予想されます。IBMは自社の膨大な既存顧客に対してクラウドの選択肢を提供しようとしていると考えられます。

OpenStackをベースとした「HP Cloud OS」とハイブリッドクラウド環境

 一方、米HPは6月に自社プライベートイベントで新しいクラウド戦略の発表行っています。

 「SLAに基づくエンタープライズクラスのサービスを提供すること」を目標に、OpenStackをベースとする同社クラウドディストリビューション「HP Cloud OS」の拡張とクラウド基盤の構築および運用を支援するサービスを発表しました。

 HP Cloud OSをベースに、運用の自動化などの「オーケストレーション」機能やポータル機能、プライベートクラウドのリソース不足の際にパブリッククラウドを使って追加リソースを提供する「バースティング」のための機能を追加し、いずれも自社で展開するパブリッククラウドサービス「HP Cloud Services」、プライベートクラウド「HP CloudSystem」を提供しています。

 今後は、HPが2013年4月に発表した高密度集約型省電力サーバ「HP Moonshot」とHP Cloud OSを組み合わせた製品展開も予定しており、こちらも企業のプライベートクラウド運営のための選択肢を増やす動きを活発化しています。

オラクルもOpenStack

 本稿を執筆中、オラクルも自社プライベートイベントにおいて「エンジニアドシステム」と呼ぶ、垂直統合型サーバアプライアンス製品のOpenStack対応を発表しました。大手ベンダの参加により、エンタープライズ領域でOpenStackを活用するシーンがますます増えそうです。

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