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DB正規化のムダがない「マルチバリューデータベース」の使いどころDatabase Expertレポート(3)(1/2 ページ)

2013年11月1日、BeaconIT FORUM 2013が開催された。リレーショナルデータベースの課題と現在のビジネスロジックの難しさ、マルチバリュー型データベースの利点を聞く。

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 2013年11月1日、「BeaconIT FORUM 2013」が開催された。SIベンダであるビーコンITの年次のユーザーカンファレンスである。同社は、ETLツールやマルチバリュー型データベース製品などを提供していることでも知られる。

 ビーコンIT 代表取締役社長である新藤匡浩氏が登壇、同社のETLツールである「Waha! Transformer」の最新版であるVer4.2において、「PureApplication System V1.1」に対応したことを自ら発表した。

ビジネスプロセスとロジックのミスマッチ

 新藤氏は、昨今のビッグデータ関連技術の普及を調査資料を基に言及、データが多様になっているにもかかわらず、ユーザーが利用するデータベースが、相変わらずリレーションモデルである点を指摘する。


同社が実施したアンケートによると、半数以上の企業でリレーショナルデータベースが使われている(有効回答数255)

 つまり、多くの企業では何らかのアプリケーションを作り込む際に、そもそもビジネスプロセスをSQLに落とし込む、という工程が発生していることになる。この、プロセスとロジックの変換において「ITとビジネスの間にミスマッチが生じている」点が課題であるとした。

 DBAならば分かることだろうが、ビジネスプロセスの設計、データベースの正規化というように、ちょっとした帳票出力を実装するだけでもそれなりの工数が掛かる。必要なデータを直感的に取得したり、出力を変更するといったことは、リレーショナルモデルのデータベースでは、非常に負荷が高い。

 これに対して、同社が展開する「ARTMAN」はマルチバリューデータベースであり、こうしたビジネスロジックの変更に強い点が特徴だ。

 同社ではマルチバリューデータベースをNoSQLの1つとして位置付けている。マルチバリューデータベースの仕組み自体の歴史は古く、1960年代にはその基礎が確立しているものだ。

 リレーションモデルでのデータ格納が必要なものでなければ、むろんマルチバリューデータベースの方が、アプリケーションも短期間で構築できる。

 新藤氏はその例として、古くからのARTMANのユーザー企業を紹介した。

 紀伊国屋書店は、過去、メインフレームを利用していたが、マスターデータをARTMANに置き替えている。このマスターデータを基に、日本初のオンライン書店サイトの運営などを行っている。現在も、紀伊国屋書店のWeb注文サイトはARTMANが稼働している。

システム連携での事例も

 一方、同社ETLツールのユーザー事例としては、サッポロビールやミズノもメインフレームからの移行で同社製品を採用している。ミズノの場合は、EDIシステムなどはオープン系システムを採用、ETLツールには、同じくビーコンITが提供する「Waha! Transformer」を採用、約50のシステムを連携して運用しているという。

PureApplication Systemの検証済み「パターン」に

 Waha! Transformerは、既にOracle Exadata環境にネイティブで接続できるようになっているが、この日、最新版であるVer4.2において、「PureApplication System V1.1」に対応したことを発表した。

 IBM PureApplication Systemは、いわゆる「垂直統合」型のサーバアプライアンスで、「Webサーバ」「データベース」などの中から検証済みの各種コンポーネント(「パターン」)を組み合わせるとすぐにシステムを稼働でき、自動運用が可能な点が特徴。「パターン」では、検証環境を公開し、サードパーティ製アプリケーションのバリエーション拡充にも積極的だ。今回発表になったWaha! Transformerの対応は、国産ETLツールでは第1号となる。

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