Windowsプラットフォームへ注力し始めたさくらの戦略:Hyper-V Recovery Managerの検証も開始
Windowsプラットフォームの業務システムは、東京・石狩・大阪のDC拠点と組み合わせることで「止まらない」システムに生まれ変わる。Windowsプラットフォーム対応を強化するさくらインターネットのサービス展開状況を聞いた。
Windowsプラットフォームへの取り組みを加速させるさくらインターネット
これまではどちらかと言えば、パワーユーザーや新興ネット企業の「尖った」システムに特化したデータセンター事業者というイメージが強かったさくらインターネット。自ずと、使われるOSやミドルウェアもLinux/オープンソース系のものが多かったのだが、しかしここに来て同社は、にわかにWindowsプラットフォームへの取り組みに力を入れ始めている。その背景について、さくらインターネット 企画部 マネージャー 斎藤淳児氏は次のように説明する。
「これまで弊社のサービスは、ネット系企業ユーザーの間では広く使われてきた半面、一般企業ユーザーにはあまりなじみがなかった。こうした状況を打開し、一般企業ユーザーにも弊社サービスを広く使っていただくためには、企業ITのデファクトスタンダードであるWindowsプラットフォームへの取り組みを強化し、魅力的なサービスを開発・提供する必要があると考えた」
こうしたビジネス戦略の下、現在さくらインターネットはマイクロソフトとのパートナーシップ関係を急速に深めている。例えば2013年4月からは、マイクロソフトが現在開発を進めている新技術「Windows Azure Hyper-V Recovery Manager」(以下、Hyper-V Recovery Manager)の早期導入プログラム(RDP)に参加し、その技術検証を進めている。
Hyper-V Recovery Managerは、Windows Azureのクラウドサービスを介して、プライベートクラウド環境の仮想マシンを別の環境に複製・同期するとともに、万が一サイトがダウンした場合には、複製先の災害対策サイト上で自動的にシステムを復旧させるというもの。さくらインターネット 開発部 開発第一チーム マネージャー 加藤直人氏によれば、このHyper-V Recovery Managerは、同社のデータセンター基盤上でWindowsベースのシステムを運用する企業にとって極めて魅力的な技術になる、と言う。
「現在、弊社が運営する東京と石狩のデータセンターの間で、Hyper-V Recovery Managerを使ったDRの仕組みを検証しているが、これがサービスとして実用化できれば、これにさらに大阪のデータセンターも加えた上で、極めて信頼性の高いDRシステムを安価に提供できるようになる。Windowsプラットフォーム上で重要な業務システムを運用する企業にとっては、極めて魅力的なサービスになるはずだ」
System Center 2012 R2のホスティング環境の提供も予定
ちなみに、Hyper-V Recovery Managerの一連の仕組みは、Windows Azureのクラウドサービスとともに、Windows Server 2012 R2が提供する仮想マシンの複製機能「Hyper-Vレプリカ」と、仮想マシンの運用管理機能を提供する「System Center 2012 R2 Virtual Machine Manager」が協調動作することで実現する。
さくらインターネットでは、Windows Server 2012 R2を同社が提供する専用サーバや仮想サーバに導入できるOSとして早くも2013年11月7日からラインアップに加えたほか、System Center 2012 R2に関しても、専用サーバに導入済みの形でユーザーに提供できるようになるという。
「これまで弊社の専用サーバサービスでは、各サーバにOSを単体で導入できるだけだったが、System Centerが導入できるようになることで、複数のWindowsサーバを束ねて管理できるようになる。また現時点では、専用サーバサービスは石狩データセンターでのみ提供しているが、将来的にはほかのデータセンターでも提供を開始し、Hyper-V Recovery Managerによる効率的なDRの仕組みを提供できるようにしたい」(加藤氏)
なお専用サーバサービスのみならず、同社が提供するクラウドサービス「さくらのクラウド」においても、現在急速にWindows関連のサービスメニューの強化が進められている。さくらのクラウドが提供する仮想サーバのOSとしては、長らくLinux系OSしか選ぶことができなかったが、2013年9月からはWindows Serverも選択できるようになった。
さらに2013年11月末には、Windowsデスクトップ環境へのリモートアクセスを提供するVDIサービスも開始する予定だという。デスクトップ環境の提供だけに留まらず、Microsoft Officeをセットアップした環境や、Visual Studioをセットアップした開発用デスクトップ環境の提供も予定している。
さくらインターネットでは現在、本稿で紹介したもの以外にも、Windowsプラットフォームを活用した新サービスの検討を進めているという。これまで、「Linuxとオープンソースを駆使してWebサービスを作り上げるための基盤」というイメージが強かった同社のデータセンターサービスだが、今後は一般企業がWindowsベースの業務システムを構築するための基盤としても、一気に身近な存在となりそうだ。
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提供:さくらインターネット株式会社/日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2013年12月20日