エージェント訪問、その前に:エージェント徹底活用法(3)(3/3 ページ)
相性の良い転職エージェントと出会うには、事前準備が欠かせません。エージェントとの面談の前にすべきこと、面談中にすべきことを、具体的に伝授します
良いエージェントを見極める8つのポイント
いよいよ転職エージェントとの面談です。いくら事前に十分に調べても、実際に会うと印象は変わるもの。その後の活動の成否、ひいては人生の方向性に関わるパートナーですので、慎重に選びたいところです。ここでは、良い転職エージェントを見極める8つのポイントをお伝えします。
- 経験を詳しく聞いてくれるか、理解しているか?
- 転職理由を深く聞いてくれるか、感情レベルで理解しているか?
- 数年後のキャリアプランを考えてくれるか?
- 現職残留の可能性を考えてくれるか?
- 意図を持って企業を提案してくれるか?
- 企業の情報を詳しく教えてくれるか?
- 良いことばかりでなく悪いこともきっちり教えてくれるか?
- 検討期間・応募方法・応募時期などの戦略を提案してくれるか?
面談は、最初に転職エージェントから自社およびサービス内容の紹介や転職活動の流れの説明などがなされ、その後、経歴確認などのヒアリングに入ります。
1.経験を詳しく聞いてくれるか、理解しているか?
表面的な経歴だけで理解されると、ミスマッチなプロジェクトアサインが発生するように、ここで浅い理解をされると、自分に合わない企業や求人を紹介されてしまいます。経験を深く聞いてくれるか、分かってくれるかを確認してください。
2.転職理由を深く聞いてくれるか、感情レベルで理解しているか?
転職を考える時は、前向きな理由だけではなくネガティブな理由も必ず存在します。また、転職エージェンシーを訪ねるだけのエネルギーの裏には、大きな感情の動きもあります。ネガティブな理由や感情を考慮せずに転職をすると、転職先でまた苦しむことになります。マイナス面もしっかり聞いてくれるかを確認してください。
3.数年後のキャリアプランを聞いてくれるか? 考えてくれるか。
「いまどうしたい」という要求を満たせても、「それを達成し終えたらどうするか」までを考えておかないと、数年後にまた転職をしなければならなくなるかもしれません。数年後のキャリアプランを、プライベートまで含めて聞いてくれるかどうかで、短期的ではなく長期的な視点で考えてくれているかが分かります。
4.現職残留の可能性を考えてくれるか?
転職は目的ではなく手段の一つに過ぎません。現職でも希望をかなえられて、それがベストな手段であるのなら、わざわざリスクを犯してまで転職する必要はありません。転職ありきではなく、現職残留の可能性を考えてこそのキャリアコンサルティングといえます。
5.意図を持って企業を提案してくれるか?
企業やポジションの紹介は、転職エージェントからの提案です。提案である以上、転職希望者にとって短期・中期・長期それぞれの観点でメリットがあり、その裏付けとなる根拠が存在するはずです。また、どの求人も一律にお勧めのはずはなく、最善案や次善案が必ず存在します。情報をただバラバラと出すだけのエージェントは、数打って当たればいいと考えている可能性がありますので注意が必要です。
6.企業の情報を詳しく教えてくれるか?
転職エージェントは、企業のWebサイトや求人票の情報以外にもさまざまな情報を持っています。その企業が自分に合っているかどうかを判断するために必要な情報―― 例えばビジネスの状況、社長の考え方、社風、キャリアパス、稼働時間、ワークスタイルなどは、自力では得にくい情報だったりします。そういった生きた情報を持っているかも重要なポイントです。
7.良いことばかりでなく悪いこともきっちり教えてくれるか?
物事には必ず正と負の側面があります。良いことばかり聞くと夢が膨らみ、早く転職したくなりますが、負の側面をよく認識して入社しないと、転職したのち「話が違う」「こんなはずではなかった」となりかねません。負の側面も隠さず話してくれる転職エージェントこそ、信頼に足る人と言えます。
8.検討期間・応募方法・応募時期などの戦略を提案してくれるか?
物事を効果的に進めて最大の成果を得るためには、闇雲(やみくも)に走ってはいけません。システム開発でも、計画を立てずにいきなり開発に入ると、後でとんでもないことになるものです。とにかくやってみるということも時には必要ですが、理想的には要件定義と同様に検討期間を十分に取り、応募の優先度や応募の仕方(一気に集中して選考を進めるか、業務の負荷を考えて順番に選考を進めるべきか、など)を十分に考慮して慎重に進めるべきです。そういった実行戦略を提案してくれるかがポイントになります。
以上、転職エージェントの見極め方をお話しました。上記をチェックリストとして、面談で質問するのも一つの手です。せっかく忙しい中で時間を割いて面談に行くのですから、できるだけ収穫は多くしたいものです。大した話が出てこなければ諦めるしかありませんが、大抵は意味のある回答が得られるはずなので、ぜひともエージェント活用法の一つとして利用してください。
なお、上記のチェックポイントを全てクリアできる転職エージェントは世の中にそれほど多くはいません。できるだけ多くチェックポイントをクリアしているエージェント2〜3人に、支援を依頼すればよいと思います。
エージェント徹底活用法、次回は面談後のプロセス(応募準備、面接準備など)での活用法を解説します。
筆者プロフィール 田中祐介
東京大学大学院を修了後、中堅SIerを経てアビームコンサルティングに入社し、IT企画や構想策定から開発、保守・運用まで、IT領域全般に携わる。現職のリーベルには「一人一人のパートナー」になりたいという想いを実現するために転職。リーダーや採用担当として培った"長所を発見する力"と、SIer・コンサルティングファームの両方の現場感覚を知る強みを生かし、個人と企業がWin-Winとなるマッチングを目指す。
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