IT戦略を議論するなら「ZTNA」を「リスク軽減」に言い換えるべき? 経営層との埋まらぬ溝:Netskope調査
NetskopeがIT部門と経営陣の関係性に関する調査結果を発表した。自社インフラがAIの要求に対応可能としたIT部門責任者は38%で、十分な予算とチームの確保は18%にとどまることが明らかになった。
Netskopeは2026年1月20日(米国時間)、世界各国のIT部門管理職を対象にIT戦略とビジネス戦略の整合性について調査した結果を発表した。調査の結果、AI(人工知能)に対応したITインフラの刷新には新たな運用課題が伴い、課題解決にはより密接な経営層とIT部門の連携が不可欠だと判明したという。
経営層とIT部門の間に横たわる「溝」の実態
IT部門責任者の80%は、組織のITインフラが中核的なビジネス目標の達成に不可欠だと考えており、また80%が過去12カ月間で経営層からの期待が高まったと回答しており、83%が自身へのプレッシャーが強まっていると感じているという。
経営層からの期待が高まる一方で、IT部門責任者の約63%は「IT戦略に関する議論に参加できていない」と感じているという調査結果が得られた。20%はCEOやCIO(最高情報責任者)が掲げる目標を明確に理解しておらず、37%は自身の役割と機能を「リアクティブ(事後対応型)」なものと捉えている実態も明らかになった。
相互の障壁については、IT部門責任者の61%が「ITインフラの透明性が低く理解しにくいことに対して、自社のCEOが不満を感じている」と回答した。
KPI(重要業績評価指標)の優先順位についても、認識のズレが見られる。IT部門責任者は、経営層が最も関心を持っているのは「セキュリティ」「可視性」「コスト」であり、「レジリエンス」「パフォーマンス」についての議論は少ないと考えている。過半数の回答者が、現在のシステムでは経営層の期待には応えられないとしており、具体的には「セキュリティ」(59%)、「レジリエンス」(58%)、「パフォーマンス」(55%)に対する期待は非現実的だとの認識を示した。
IT部門責任者の60%は、自社のITインフラやオペレーションへの投資について「問題が発生するまで動かない」という消極的かつ保守的なアプローチだと回答している。
AIの期待と現場の優先順位の乖離
現在、企業の経営層の間ではAIに関する議論が活発化しているが、その一方で同調査において「IT部門の優先課題」の上位を占めたのは「リモートアクセス技術のセキュリティとパフォーマンスの向上」(43%)、「ネットワーク運用とパフォーマンスの可視性の向上」(35%)といった従来の課題であり、「組織のAI導入支援」(34%)を上回る結果になった。
NetskopeでCDIO(最高デジタルおよび情報責任者)を務めるMike Anderson氏は、「AIがレガシーシステムでは対応できないスピードで企業インフラに対する要求を高めている」と指摘する。「組織内のコミュニケーションギャップが負担を深刻化させている」とし、IT投資の効果をビジネス視点で説明する必要性を強調した。
関係構築に向けた5つのポイント
Netskopeは、IT部門の責任者が経営層と強固な関係を築くためのポイントとして、以下の5つを提示している。
- インフラに関する意思決定を、「ZTNA」(Zero Trust Network Access)といった技術用語ではなく「俊敏性」「リスク軽減」といったビジネス成果に置き換えて説明する
- 戦略立案の早い段階から積極的に関与し、将来を見据えたインフラを設計する
- 対症療法的な対応から脱却し、アーキテクチャの簡素化と統合を推進する
- IT環境という「ブラックボックス」を透明性のあるレポートで分かりやすくし、経営層に継続的な可視化を提供する
- IT部門を安全かつ迅速なAI導入を可能にする存在として位置付け、経営層の不安を軽減して信頼を構築する
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