デル・ソニックウォール、電子メールセキュリティに本格参入:枯れてコモディティ化した市場にあえて参入する理由
デル・ソニックウォールは2014年7月8日、今後の戦略説明会を開催し、電子メールセキュリティ製品の新バージョン「SonicWALL Email Security 8.0」の販売を強化する方針を明らかにした。
デル・ソニックウォールは2014年7月8日、今後の戦略説明会を開催した。2014年9月に、エンタープライズ向け次世代ファイアウォール製品のフラッグシップモデル「SuperMassive 9800」をリリースする他、主にリプレース需要を狙い、電子メールセキュリティ製品の新バージョン「SonicWALL Email Security 8.0」の販売を強化する計画だ。
デル・ソニックウォールは、ファイアウォールやVPN、不正侵入検知(IPS)、アプリケーションコントロールといった機能を備えたUTMアプライアンス「Dell SonicWALL」シリーズを中心に、セキュリティ製品を提供している。2012年3月に買収によってデルの傘下に入ってからは、セキュリティサービス「SecureWorks」やネットワークスイッチなど、デルの既存の顧客向けにも販売を拡大してきた。
2014年度は引き続き、SecureWorksやクライアント管理を支援する「KACE」も含めた、デル全体としてのセキュリティソリューションの販売拡大に努める。同時に、日本国内では電子メールセキュリティ市場に本格参入するという。
電子メールセキュリティ市場というと、「枯れた」市場という印象は避けられない。しかし日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調査によれば、安定して年に6%程度の伸びを見せているという。しかも「2005〜2007年頃に導入した電子メールセキュリティ製品のリプレース時期が到来している。加えて、Windows XPのサポート切れなどもあって、クライアントも含めた新しいインフラへの置き換えなどに合わせて、電子メールセキュリティの見直しを図るところもあるだろう」(デル ソフトウェア事業本部 セキュリティソフトウェア本部 本部長 藤岡健氏)。
SonicWALL Email Securityは、複数のアンチウイルスエンジンによるスキャンに加え、スパムやフィッシングメールのブロック機能を提供する製品だ。
デルのプロダクトマネジメント担当シニアマネージャー、スワラップ・セルバラマン氏によると、新バージョンのSonicWALL Email Security 8.0では、新たに同社のクラウド基盤と連携したメール暗号化機能が加わった他、他社に先駆けてDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)をサポートした。これにより、DKIMやSPFといった送信ドメイン認証技術の検証結果に基づいて、なりすましメールやフィッシングメールの隔離や拒否といった処理を、企業ごとのポリシーに従って実行できる。セルバラマン氏は、「“sonicwall.com”でもDMARCを導入したが、あまりのなりすましメールの多さにわれわれも驚いた」と述べている。
デル・ソニックウォールでは、「コモディティ化しており、『入れて当たり前』となっている電子メールセキュリティ市場に、他社よりも高いコストパフォーマンスの製品を提供する」(藤岡氏)計画だ。価格はオープンプライスだが、参考価格はアプライアンスで導入する場合、1000ユーザー規模で60万円弱といった程度になる見込みだ。
近年、SaaS形式のメールシステムに移行する企業も増えているが、「コンプライアンスなどの観点から、オンプレミスでスパム対策を実現したいという企業もある。またデル・ソニックウォールでは、ソフトウェアや仮想アプライアンス、さらにはクラウドサービスなど、多様な形式でSonicWALL Email Securityを提供している」(セルバラマン氏)という。
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