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Hadoopは「難しい・遅い・使えない」? 越えられない壁がある理由と打開策を整理する転換期を迎えるHadoop(2/2 ページ)

ブームだったHadoop。でも実際にはアーリーアダプター以外には、扱いにくくて普及が進まないのが現状だ。その課題に幾つかの解決策が出てきた。転換期を迎えるHadoopをめぐる状況を整理しよう。

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Hadoopが一般化するために、足りないこと

 ここまでを執筆していて、あらためて思うのは、「やはりHadoopはややこしい」、ということです。

 Hadoopはあまりにも自由です。それはアプリケーションの一切入っていない、LinuxやWindowsを想像すると良いかもしれません。もっと古いことを言うならば、MS-DOS時代のパソコンを思い出してみると良いでしょう。

 プログラミングを行うスキルさえあれば、どんな処理だって実現できるのですが、それがなければ何もできません。いくらプログラムを書けても、何がしたいのか明確な目的がなければ、やはりどうすることもできません。Hadoopは、まさにそういう環境なのです。

 メールをやりとりする、Webを見る、音楽を再生する、プレゼンテーションを作る――何かの目的があれば、それにあわせたプログラムを書くこともできるでしょうし、多くの人がそれを求めるなら、そのためのアプリケーションが広く流通するでしょう。

 Hadoopの場合も同じです。そうはいっても、パソコンほど目的をカテゴライズできないので、お決まりのアプリケーションというのは限られます。HiveやHBaseやImpalaは、Hadoopをデータベース感覚で使えるようにするためのアプリケーション、と考えることができます。一方で、インフラとしてのHadoopのために、先に挙げたSparkやYARNがあります。

 それにしても、これらを体系立てて理解するのは、変化の激しさも手伝って簡単ではありません。その使い方まで含めるとなると、多くの方にとっては、あまりにハードルが高いと言われても仕方がないでしょう。さらに付け加えれば、そもそも何かの課題があって、それを解決するにはHadoopなんだ! という強い目的意識が働いていなければ、なかなかそのハードルを乗り越えられないのも道理です。

 では、もしHadoopに単純で明快な目的を満たせるアプリケーション、あるいはそう見えるような環境が用意されたらいかがでしょうか。

 もったいぶっても仕方ありませんから、はっきりと申し上げましょう。もし、HadoopがRDBMSとして使えるならば、そこには利用価値があるでしょうか。それがあれば、Hadoopは広く一般に受け入れられやすいものにならないでしょうか。

Column:VMイメージでHadoop環境を試す方法

 Hadoopはどうやって操作するのか、どんなプログラムを書けば良いのか、学習してみようと思うなら方法がいくつか考えられます。一つはクラウドを利用する方法、もう一つはベンダーの用意するお試し版などで環境を構築してみる方法です。

 クラウドの場合には、AWSのAmazon Elastic MapReduceだったり、IBMのBluemixのようなPaaSを利用する方法があります。あるいはAWSやIBM SoftlayerなどIaaSを使って、自分の試したいHadoopディストリビューションの環境を構築する方法も考えられます。しかし、これらの方法は、いずれも費用が発生してしまうのが悩ましいところです(試用期間は多少あるかもしれません)。

 そもそも環境構築からやっていたのでは、Hadoopの使い心地うんぬんの前に、挫折するのが関の山ではないでしょうか。

 そこで、もう一つの選択肢として、IBMが提供するVMWareイメージを紹介します。

 これはIBM InfoSphere BigInsights(IBMのHadoop製品)の構築済み環境を、VMWareイメージとして提供するものです。本番環境としては利用してはいけないなど、いくらかライセンス上の制約はありますが、費用は一切発生せず、機能的な制約も特にありません。VMWare環境ですから動作スピードには限りがあり、マルチノードでのMapReduceを試すわけにはいきませんが、手持ちのパソコンでも試せるのは手軽なことこの上ないでしょう。

 使用方法のチュートリアルも用意されているので、試したいと思う機能に的を絞って、順を追ってやってみてはいかがでしょうか。


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