第9世代ProLiantはワークロード特化型に――まずは4タイプを投入:「The Machine」構想に向けて
日本HPが第9世代「ProLiant」サーバー製品ラインアップを発表。サーバー管理効率化のための機能を強化しつつ、ワークロード特化型の構成でラインアップを示した。
2014年10月2日、日本ヒューレット・パッカード(HP)は、同社の第9世代「ProLiant」サーバー製品ラインアップ「ProLiant サーバー Gen9」を発表した。米HPが2014年6月に「HP Discover Las Vegas 2014」で発表した「The Machine」構想や、それを実現するステップとしての「Compute」戦略に即した製品であるとしている。
発表会で登壇した日本HP 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏はこのラインアップ刷新について「今後のサーバー市場でのリーダーシップを継続していくための重要な戦略製品」であることを強調した。
今後のサーバー市場ニーズについて手島氏は、ワークロードの多様化に対応したサーバー/ストレージ/ネットワーク機能を、一つのリソースプールとして柔軟に提供できる環境が求められているとし、同社が推進するCompute戦略がそれに呼応すると説明する。
現行のGen8ラインアップではサーバー管理の自動化を推進してきたHPだが、Gen9の特徴は、この自動化を継続しつつ、「ワークロード特化型サーバー」として、オールラウンダーの製品だけでなく用途に即したムダのない構成を持つ製品を示していることにあるという。
当日発表されたラインアップでは大きく分けて4つのワークロードを想定している。なお、いずれのモデルも最新のIntel Xeon E5-2600v3ファミリーを搭載する。
(1)汎用ビジネス用途(DL160/180) メモリスロット数16、最大メモリ容量を512GBに設定しており、ネットワークポートはオンボード2つ。プロセッサの動作周波数は2.6GHzと、コスト重視型の構成になっている。
(2)ミッションクリティカル用途(DL350/360/380) 従来型のエンタープライズアプリケーションを想定した構成のモデル。ディスクコントローラでは、SoCタイプの「Flexible Smartアレイ」を選択でき、ネットワークも4ポート用意している。メモリスロット数24、最大搭載メモリ容量は768GB。プロセッサの動作周波数は3.5GHz。全体的に高いスペックの構成になっている。
(3)HPC、ビッグデータおよび大規模Webサイト用途(XL230a/XL730f) HP Apollo System向けサーバー製品。スケールアウト型のシステム構成を想定している。XL730fはメモリスロット数が24、最大メモリ容量は768GB、プロセッサの動作周波数は2.6GHz。
(4)仮想化およびクラウド(BL460c/FlexFabricブレード) ストレージおよびネットワーク帯域を従来品の2倍に拡大、VM集約時に課題になりやすいストレージI/Oに配慮した構成になっている。ネットワークは10Gb FlexibleLOM、10GB FlexFabric CNAを選択できる。プロセッサの動作周波数は3.5GHz。
この他、Gen8で推進してきた運用効率向上のための自動化の流れをくむ特徴として、ハードウェアの統合管理ツールの新版「HP OneView 1.1」も発表している。こちらのツールのGen9対応版は2014年内の出荷を予定している。
なお、この会見で手島氏はComputeの世界を実現する「The Machine」構想の技術的裏付けとして、「HPには多様なワークロードに対応するSoC技術、フォトニクスによるサーバー内ネットワーク技術、次世代メモリとして開発を進めるメモリスタの技術を知的財産として保有している」として、他のサーバーベンダーとは一線を画したR&D活動の成果を示し、「HPは次の25年もサーバー市場を牽引していく」と抱負を語った。
メモリスタはHPが研究を進めてきた半導体素子。将来的にはDRAMやSRAMといったフラッシュメモリを代替する不揮発性の「ユニバーサルメモリ」としての利用が期待されている。
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