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ネットワークデバイス(ルーター、スイッチ、ブリッジ、ハブなど)の目的と機能 基礎の基礎CCENT/CCNA 試験対策 2014年版(3)(1/2 ページ)

CCENT取得を約束させられた新米ネットワークエンジニア。今週の学習の成果は? そして先輩(炭水化物好き)の評価は?

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CCENT/CCNA 試験対策 2014年版

連載目次

 シスコシステムズの資格「CCENT」取得を目標に勉強している新米ネットワークエンジニアのS君(いきさつはこちら)の、レポート提出日がやってきました。

 炭水化物好きの先輩社員 齋藤さんにランチをごちそうすると、齋藤さんがレポートを添削してくれるのです。前回は「よくできました」の評価をもらったS君ですが、今回はどうでしょう?

S君のレポート「ネットワークデバイスの目的と機能」

今回はネットワークデバイスについて調べました。ネットワークデバイスといえば、PCをネットワーク接続するためのNIC(Network Interface Card)、いわゆるLANカードも含まれますが、今回はネットワーク上の中継機器に当たるリピーター、ハブ、ブリッジ、スイッチ、ルーターについてまとめました。

 なお、前回いただいた宿題の回答は、後半にまとめました。併せて添削をお願いします。

リピーター

 リピーターはケーブルを流れる際に弱くなった(減衰という)信号を、元の強さに増幅・整調して、もう片方のポートから送信します。リピーターは、2ポート(ポート:ケーブルの差し込み口)しかありません。現在ではリピーター単体の製品はなく、後述のハブに置き換わりました。

ハブ

 「OSI参照モデルの物理層で動作する機器」といわれています。ハブは3つ以上のポートを持っています。ハブもリピーターと同様に信号を増幅して送信しますが、受信したポート以外の残りのポート全てから同じ信号を送信します。ケーブル(とその先につながっているPCなど)が集まる集線装置としての様子が、車輪の中心のハブ(スポークが集まる部分)に似ているからネットワーク機器もハブと名付けられたという説もあるそうです。

 ハブはリピーターの機能を併せ持っていて、スイッチング機能の有無を意識して「リピーターハブ」と呼ぶこともあります。

ブリッジ

 ブリッジは「OSI参照モデルの第2層データリンク層で動作する機器」といわれています。リピーターと同様に2つのポート(ケーブルの差し込み口)があります。ブリッジではMACアドレスを学習します。宛先のMACアドレスを持つ機器がどちらのポートにあるか判断し、機器がある方のポートにだけデータを転送します。データ転送の制御はソフトウェアによる処理のため、後述のスイッチに比べると処理速度が遅いです。

スイッチ

 ブリッジが2つのポートしか持っていないのに対し、スイッチは一般的に3つ以上のポートを持っています。ブリッジがソフトウェアで動作するのに対し、スイッチはASICと呼ばれる専用設計の集積回路によるハードウェア処理で動作します。ワイヤースピードという言葉がありますが、ケーブル内を流れるデータの理論上の最大値といえます。ASICを搭載したスイッチは、大半がワイヤースピードのデータを処理できる能力があります。

 スイッチは、同じネットワークに存在する複数のPCなどを接続するために使用します。接続できる台数は12〜48台前後の製品が多いです。直接ルーターと全てのPCを接続できることが理想ですが、現実では難しく、一般的にはルーター<――>スイッチ<――>複数のPCという接続を行うことが多いと思います。


図1 ルーター、スイッチ、PCの接続方式の様子

 スイッチは、コリジョンドメインを分割できる点がハブと異なります。コリジョンドメインの規模を「小さく」することが、スイッチを使う一番の目的です。コリジョンドメインが小さくなればなるほど、ネットワークの帯域幅を理論値に近い値まで使えます。スイッチでは、1つのポートと接続されるPCなどだけでコリジョンドメインとなる、「マイクロセグメンテーション」という考え方を実現しています。

 スイッチはハブの機能も併せ持つ機器でもあるため、現在市販されているスイッチのほぼ全てが、リピーターハブと比較する意味も含めて、「スイッチングハブ」と呼ばれています。

ルーター

 異なるネットワーク、インターネットの世界(WAN:Wide Area Network)と社内のネットワーク(LAN:Local Area Network)をつなげる機器です。IPアドレスを元に、どのネットワークへデータを送れば良いのか道案内をする(経路選択:ルーティング)ことが、ルーターの役割です。このルーティングを行うための判断材料としてルーターが使用するのが「ルーティングテーブル」です。

 スイッチではコリジョンドメインでしたが、ルーターではブロードキャストドメインという言葉が頻出します。こちらも別のレポートでまとめます。

メディアコンバーター

 主な組み合わせとして、光ファイバーとUTP(LANケーブル)の変換をする装置を「メディアコンバーター」と呼びます。文字通り通信媒体(メディア)としてのケーブルの種別を変換できる装置です。リピーター機能により信号の増幅と整調を行います。さらに高機能な機器では、データのかたまりを全て受信するまでデータを溜めてから、違うケーブルへデータを転送できるスイッチ機能を持つものもあります。

知らなかった用語

用語 意味
減衰 徐々に弱くなること。ネットワークの世界ではケーブル中を流れる信号が弱くなることについて使用する
帯域幅 ケーブルを流れるデータ量の単位。bit/秒またはbps
マイクロセグメント化 スイッチの1つのポートにPCなどが1台だけつながっている状態。全二重通信が使用できる
コリジョンドメイン コリジョン(衝突)が発生し得る範囲
ブロードキャストドメイン ブロードキャストパケットが届く範囲

 次回は、ネットワークデバイスやホストを接続するために適切なメディア、ケーブル、ポート、コネクターについてまとめます。

レポート作成:新米S


齋藤さんの添削

 前回のレポートに比べると質が落ちてしまいましたが、知らなかった用語をまとめたのは良いことです。今後も続けましょう。

  • 家庭向けの機器で、ブロードバンドルーターと呼ばれる機器がありますが、この機器に実装されているのはルーターとしての機能だけでしょうか? ポートが5つあるものがほとんどですが、なぜポートは5つもあるのでしょうか?

  • 「ワイヤースピード」という語句が書かれていますが、特にスイッチにおいては「ストアアンドフォワード」や「カットスルー」という語句が必ず出ますから、別のレポートとしてまとめてください。

  • ルーティングテーブルとIPアドレスはペアになっているようですが、MACアドレスとペアになる「××テーブル」のようなものがありませんか?

  • 「全二重通信」とは、どのような通信でしょうか? 別の種類はないのでしょうか?

  • 下図のようにスイッチ間を2本以上のケーブルで環状につなげた場合、PC-AとPC-B間で問題なく通信できるのでしょうか? できる or できないという結果と、その理由を答えてください。

図2 スイッチ間を2本以上のケーブルで接続

 総合評価は「もう一歩」です。今回はレポートの質がイマイチなので、ランチは「海鮮丼ざるそばセット」でお願いします。

 齋藤


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