CCENT/CCNA取得を目指す皆さんへ:CCENT/CCNA 試験対策 2014年版(1)
シスコの認定資格「CCENT/CCNA」のポイントを、新米ネットワークエンジニアと共に学びましょう。
「CCENT/CCNA」取得を目指す皆さん、初めまして。齋藤貴幸と申します。沖縄県と首都圏を中心にネットワーク構築業務に携わっている、炭水化物をこよなく愛する男です。
今日から始まる「CCENT/CCNA 試験対策 2014年版」は、ネットワーク初心者がシスコシステムズの資格CCENT/CCNAを受験するために必要なポイントをまとめた連載です。皆さんと共に学習するのは、新米ネットワークエンジニアのS君です。
ことの始まりは2014年10月頭のことです。S君は入社半年経過時の上司面談で、シスコシステムズの資格を取得することを約束させられてしまいました。最初は名前をよく聞く「CCNA」にチャレンジしようと思ったのですが、いろいろと調べたところ、CCNAにいきなり挑戦するのは難しそうだと分かりました。
そこで私はS君にアドバイスしました。「S君はネットワークの初心者だから、CCENTから勉強を始めるといいよ。独学だと分からないことがあったときに 困るだろうから、隔週木曜日に2週間で勉強した内容をレポートにまとめて僕に見せてごらん。添削してあげよう。お礼はランチをごちそうしてね」
S君はCCENTをうまく取得できるでしょうか?――本連載はこういう設定で、私(齋藤)とS君のやりとりを通じて「CCENT/CCNA 」取得に必要な知識を紹介していきます。
CCENT/CCNAとは何か?
初回となる今回はS君にお休みいただいて、CCENT/CCNAの概要などを解説します。
CCENT/CCNAは、シスコシステムズが認定する資格試験の名称です。ネットワーク全般の知識はもちろんのこと、シスコシステムズの製品を十分に設定、および運用できるかも試験では問われます。
CCENTの正式名称は「Cisco Certified Entry Networking Technician」です。CCNAの正式名称は「Cisco Certified Network Associate Routing and Switching」、最新の試験バージョンでは、「CCNA Routing & Switching」と名称が変更されました。CCENT→CCNA Routing & Switching→CCNP Routing & Switching→CCIE Routing & Switching→CCArの順に試験難易度が上がり、比例して技術者としての信頼度も上がります。
CCENTの試験番号は「100-101J」、試験名は「ICND1」です。
CCNA Routing & Switchingは、受験方法が2通りあります。一括で受験する場合と、CCENTの合格者を想定した段階受験です。
一括受験の試験番号は「200-120J」、試験名は「CCNA」です。分割して受験する場合は、試験番号「100-101J」試験名「ICND1」と、試験番号「200-101J」試験名「ICND2」です。
出題範囲
それぞれの出題範囲は、シスコシステムズのサイトで最新情報をご覧ください。
勉強方法
CCENTもCCNAも、独学で学べる学習環境が比較的整っています。また、「シスコ・ネットワーキングアカデミー」という教育プログラムを導入している情報系の大学や専門学校もあり、授業として資格取得の勉強ができる教材がそろっています。
個人で学習する際には、「CiscoPress」という公式ガイドのシリーズ書籍や問題集、多数存在するWebサイトが参考になるでしょう。もちろん、本連載も参考になさってください。
また、シスコシステムズも「Cisco Learning Network Japan(シスコラーニングネットワークジャパン)」という勉強サイトを提供しています。
受験方法と受験料
CCENT/CCNAはシスコシステムズの認定試験ですが、試験はシスコシステムズのオフィスでは行いません。
CCENT/CCNA試験は、試験業務を代行している「ピアソンVUE」が提供するテスト会場で受験します。
受験料もピアソンVUEで確認します。本原稿の執筆時点(2014年10月現在)では、100-101J ICND1と200-101J ICND2が1万5300円(税別)、200-120J CCNAが3万0090円(税別)です。
基本情報処理技術者試験のように半年に1回しか受験チャンスがないものではなく、テスト会場と受験問題、受験日時を選択できるので、ご自身の都合の良いタイミングで受験できます。
なお、受験には「事前にユーザー登録が必要であること」、「受験当日にテスト会場に本人確認のための証明書を2種類持参すること」を追記します。
2種類の証明書の内訳は、「写真付きの証明書」と「直筆の署名入りの証明書」です。写真付きの証明書は運転免許証など、署名付きの証明書はクレジットカードやパスポートなどです。
出題方法
該当試験のページから試験チュートリアルをご覧ください。択一式、複数回答式、ドラッグ&ドロップ方式、シミュレーション形式、シナリオ形式などの複数のパターンで出題されます。
「正しい答え」を選択するだけではなく、ルーターやスイッチに対し適切なコマンドを入力できるかを問われる問題もあります。機器の設定方法も習得していないと試験には合格できません。
即答できる問題もありますが、シミュレーション問題やシナリオ問題などは他の問題より時間がかかります。時間配分に注意が必要です。
千里の道も一歩から
CCENTやCCNA、CCNPは一日二日勉強した程度では到底合格できない難易度の高い資格試験です。この連載では少しずつですが確実に情報を増やしていきます。
次回からはS君のレポートが始まります。S君と一緒に基礎から勉強していきましょう。この連載が、皆さんのCCENT/CCNA取得への一助になれば幸いです。
- ネットワークのトラブルシューティング――レイヤー3演習問題編
- ネットワークのトラブルシューティング――レイヤー3編
- ネットワークのトラブルシューティング――レイヤー2編
- ネットワークのトラブルシューティング――レイヤー1編
- スイッチのポートセキュリティ設定
- ネットワークデバイスのセキュリティ設定
- 時刻情報を同期する「NTP」の仕組みと、ルーターへの設定方法
- 「NAT」の仕組みとルーターへの設定方法
- 4種類のACLのルーターへの設定方法
- ACLごとの通過条件設定方法と適用場所、設定コマンド
- 標準ACL、拡張ACL、番号付きACL、名前付きACL――ACLの基礎知識と分類方法
- DHCPとは何か――ルーターでDHCPサーバーを稼働させるための設定方法や仕組み、シーケンス、メッセージの種類、リレー、リース期間
- VLAN間ルーティングの設定と確認
- OSPFv3とOSPFv2の違い、そして設定コマンド
- OSPFを理解する基本的なポイントと設定コマンドの使い方
- リンクステート型ルーティングプロトコル「OSPF」
- ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル「IGRP」と「EIGRP」
- ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル
- 所定のルーティング要件に対応するスタティックルート(静的ルート)またはデフォルトルートの、ルーティング設定と確認
- コマンドを使用したルーターの設定とネットワーク接続の確認
- 複数のルーティング手法とルーティングプロトコルの比較
- ルーター設定を行うためのCLIの設定と活用方法
- アクセスポートとトランクポート
- VLANで論理的に独立したネットワークを作成する
- ストア&フォワード方式、カットスルー方式、CAMテーブル
- コリジョンドメインとブロードキャストドメイン
- トポロジとメディアアクセス制御を理解する
- デュアルスタック、トンネリング、NAT――IPv6とIPv4の共存方法
- ぶいろく? ぶいしっくす?――初心者でも分かる「IPv6」の基礎
- 至高のネットワークアドレッシング方式学習法
- 究極の入門 プライベートIPアドレスとパブリックIPアドレス
- 超入門 ネットワークケーブルの種類と配線方式の違い
- ネットワークデバイス(ルーター、スイッチ、ブリッジ、ハブなど)の目的と機能 基礎の基礎
- 新人ネットワークエンジニアがまとめたTCP/IPプロトコルスタックとOSI参照モデルの基礎知識
- CCENT/CCNA取得を目指す皆さんへ
筆者プロフィール 齋藤貴幸
ドヴァ ICTソリューション統轄本部 デベロップメント&オペレーショングループ 2部
情報系専門学校の教員を12年勤めた後に同社へ入社、エンジニアへ転向。沖縄県と首都圏を中心にネットワーク構築業務に携わる。また、シスコ・ネットワーキングアカデミー認定インストラクタートレーナーとして、アカデミー参加校のインストラクターを指導している。炭水化物をこよなく愛する男。
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