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正しいライバルを持つべき理由ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(15)(2/3 ページ)

あなたのライバルは誰ですか――同期? 同じ部署のメンバー? それも自分自身?

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ライバル意識をプラスに転換する

 ライバル意識そのものは、決して悪いものではありません。メンバー同士のライバル意識が悪い影響を生んでいたら、プラスの影響をもたらすライバル意識に転換させればよいのです。では、どうしたらマイナスからプラスへ転換させられるでしょうか?

 先ほどの例に見られるように、狭い範囲での相対的な順位にばかりこだわっていると、健全なライバル意識を育みにくくなります。闘いの場をもっと広い土俵に移し、絶対的なものに価値を見いだすように考え方を導きましょう。例えば、チーム内ではなく社内を見渡すとか、あるいは「自分と社内の誰か」という個人戦ではなく、「自分のチームと他のチーム」とか「自社と競合他社」というように、団体戦にエネルギーを注ぐよう仕向けてみましょう。

勝ち負けよりもWin-Winにこだわる

 食べ物のパイを例にとって考えてみましょう。大きさが決まっているパイをライバルと奪い合うと、どちらかが余分に取ると必然的にもう一方がその分損をします。当初Aさん40%/Bさん60%で分配していたパイを、Aさんが15%プラスして55%取ると、Bさんは必然的に15%マイナスの45%になります。


パイの奪い合い

 競合する者同士が互いに反目し合うのではなく、目を外に向け、パイそのものを大きくするような努力や工夫をするとどうでしょうか? 分配しても、両者の分け前に損は発生しません。

 先ほどのパイの例でいうと、200グラムのパイをAさん40%/Bさん60%で分配し、Aさん80グラム/Bさん120グラムで分けていたものを、両者の努力によってパイを300グラムに増やしたとします。すると、分配比率が40%/60%のままでも、つまり相手の取り分に手を付けなくても、Aさん120グラム/Bさん180グラムと、両者ともに獲得量が増えます。


パイを大きくしたら?

 両者が満足するWin-Winの関係を目指して、健全なライバル関係を目指すべきだと分かりますね。


反目するか? 外に目を向けるか?

競争相手はライバルであると同時に協力者

 ビジネスの世界では、競争相手はライバルでありながら協力者になることも多くあります。

 今も昔も「マイクロソフト」と「アップル」は、PCのOS市場でライバル関係にあります。ユーザー層を広げることなくシェアを奪い合っていれば、市場の繁栄はなかったでしょう。しかし両社が、ユーザーインターフェース改良の努力をし、エンターテインメント面を充実させ、企業だけでなく家庭や学校へ広める工夫をしたので、ユーザー層が拡大し、市場規模も大きくなりました。

 両社が積極的に手を結んで協力したわけではありませんが、足の引っ張り合いをするのではなく、目を外に向けパイを広げることに尽力したことよって、Win-Winの結果になったのです。

 皆さんの組織やチームに当てはめると、どうでしょうか? 社内ではなく、社外のライバルをマークしていますか? また個人戦ではなく、団体戦を意識していますか?

 身近な人より早く昇格・昇給するのは誇らしいことかもしれません。しかし、そのために社内でライバルをつぶすことにエネルギーを使い、気が付いたら会社の競争力が落ちていた、なんてことになったら悲劇です。

 組織の中は協力し合って、パイを広げることに頭を使うべきです。ここでいうパイは、自社の利益です。全体の利益の源が増えない限り、自分の取り分である給料のアップは期待できませんよね。

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