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「QA@IT」ナンバーワン回答者 flied_onionさんに聞く「なぜ私は、無償で質問に答え続けるのか」一つの回答に数時間かけることもある(2/2 ページ)

@ITが運営する問題解決コミュニティ「QA@IT」には、日々さまざまな質問が投稿されている。レベルもジャンルもさまざまなこれらの質問に、丁寧で分かりやすい回答を付けてくれることで、コミュニティ内外のエンジニアから注目されているのが「flied_onion」さんだ。「空飛ぶタマネギ」はどんな人物で、どんな思いで回答しているのか。編集部がお話を伺った。

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仕事で行き詰まったら外に目を向けよう!


「職場では、面倒見が良いとか、あらかじめいろいろ手を回してくれて便利で助かるという評価みたいです」

 自分に足りないスキルや経験を得ようと思った背景には、仕事で行き詰まりを感じていたことがあります。VB.NETやC#をメインにしたアプリケーション開発を10年ぐらい続けてきて、その分野でのスキルや経験、社内のポジションは、それなりのものになりました。

 その一方で、社外を見渡してみると、自分には到底追いつけないように思える人たちがたくさんいました。ブログなどで自分の考えを積極的に公開している人やOSSコミュニティの活動などを見ているうちに、「新しいことに取り組まないと自分の将来はない、少なくとも10年くらい遅れている知識を取り戻さないと先はない」と感じるようになったのです。

 そのうちRubyやPythonといったWeb系の言語を勉強するようになりました。関心が同じ人に関わりながら勉強を続けてきましたが、自分の周囲だけではいずれ限界がきます。自分が一番詳しいという状況になると、一人で自己研さんしながらモチベーションを維持するのがだんだん難しくなってくるのです。

 QA@ITのようなQAサイトを活用しようと思ったのはそんな時です。QA@ITの前身である「@IT会議室」を2004年ごろから利用していたこともあり、掲示板やQAサイトには「技術者同士が教え合える、切磋琢磨できる場」としての魅力を感じていました。

 職場にお互いに刺激を与え合える人がいると、スキルや日々の作業の改善のいい動機付けになりますよね。同じように、QAサイトでも「そこに質問者がいる」ということが動機付けになって、「自分がやらねば」という使命感めいたものを感じていたように思います。

エンジニアとしての履歴を社外に残す

 「やるならばプロとして」という思いもありました。「1円でもお金をもらったらプロ。やるならばプロらしく振る舞おう」ということです。エンジニアになる前に声優を目指していた時期があって、養成所にゲストで来られた演出家に教えていただきました。こうした「プロ意識」は、仕事に取り組むときに大事にしている信条で、自分の一番ベースになっている部分と言ってもいいです。

 QAサイトへの回答でお金をもらっているわけではないのですが、そのくらいの気持ちで取り組んでいれば、仕事で新しいことを求められても対応できます。社外で学んだことを会社の仕事にもフィードバックしていくことができると思います。

 社外にエンジニアとしての履歴を残せば、自分のキャリア形成に役立つはずという気持ちもありました。QAサイトでの活動を職務経歴書のように見てもらえます。転職をしようと思った時に、会社の仕事で得たことを社外の人に正しく伝えるのは案外難しい。そういうときに経歴書代わりになるものがあれば、実績を客観的に判断してもらいやすくなります。

 私は、もともとはものぐさな人間です。仕事でやさぐれて、家ではネットゲーム三昧だった時期もありました。「これではマズい」と勉強会に参加しようとしたけれど、申し込みが億劫(おっくう)で行動に移せなかった時期もありました。

 QAサイトで質問に答えることは、そんな自分の性格に向いたスキルアップのやり方だったと思います。もちろん、回答に対して反応があったり、回答を踏まえて議論がより深まっていったりするのを見ると素直にうれしいし、やりがいも感じます。また、獲得したポイントでレベルが上がっていくのでゲーム感覚で楽しめるのもメリットです。

「人の話を聞く」ことの大切さを実感

 QA@ITでの活動は、もう生活の一部のようになっています。オンとオフでいうなら、QA@ITを含めてオンで、今はオンの時間をもっと増やしていこうとしているところ。ただ、回答をきちんとしようとすると、すごく時間がかかります。自分が理解する時間はそれほどではなくても、理解したことを相手に分かってもらう時間は、すごくかかります。

 ですので最近は、「使命」というよりは、自分の時間にゆとりを持ちながら回答するようにしています。ゆとりを持つことで、今まではできなかった活動も始めています。例えば、QAサイトを通じて知った技術について詳しく触ってみたり、セミナーに出かけていったり。

 QA@ITに限ったことではないのですが、目的と手段、理想と現実を理解した上で、意識してWeb上のサービスを利用すると、今までとは違うものが見えてくると思います。「この分野は知っている」とか「こうに決まっている」といったことは案外ただの思い込みでしかないものです。思い込みや誤解のままある時間を過ごしてしまうのは、非常にもったいないです。

 私も、QA@ITからたくさんの「気付き」を得てきました。質問に答えるうちに、人の話を聞くことの大切さを身に染みて感じることもできました。最初は軽い気持ちでいいので、まずは試してみる。いい刺激になると思います。

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