人は幾つまでチャレンジできるか? 45歳だろうが、75歳だろうが、それが必要であれば「いつでも」だ:Go AbekawaのGo Global!〜TechTarget編(後)(2/2 ページ)
注目のグローバルIT企業トップに話を伺うインタビューシリーズ。「TechTarget」APAC(アジア太平洋地域)統括ヴァイスプレジデントのJon Panker氏に、テレビリポーターからキャリアチェンジしたご自身の経歴を踏まえて、職業選択とチャレンジについて話してもらった。※メッセージ動画あり
Perseverance will win in the end〜石の上にも3年
阿部川 キャリアアップの手段として、転職も有効だと思いますか?
パンカー氏 大切なのは、「変化を求めるために、変化してはいけない」ということです。あなたに対して誠実に対応してくれる会社に、不誠実になってはいけないと思います。
一つの会社で時間をかけて経験を積み働くのは素晴らしいことです。それによって仕事はもちろんですが、自分についても多くを学べます。能力の全てを会社のために役立てようとコミットすることで、自分も満足できます。
私は変化を求めるなと言っているのではありません。究極的に満足できない、あるいは楽しくないということであれば、そのときは大胆にならなければいけないと思います。しかし新しい機会というものは往々にして、会社の他の部署や業務にあることも多いのです。積極的にそれを探し求めるのも大切なことです。
自分を振り返れば、TechTargetはこの15年間で、少なくとも3つの種類の仕事ができる機会を私に与えてくれました。面白いことにそれぞれが大体5年周期で訪れています。5年間は編集者として、5年間はパートナー企業との国際ビジネス業務、そして最近の5年間がAPACでのビジネスマネジメントです。わざわざ転職して、このような仕事ができる機会を探す必要はありませんでした。
日本のエンジニアやITマネジャーも、恐らく今働いている会社の中に新しいチャレンジが存在しているのではないでしょうか。それが最初に検討すべきことです。そこで何か新しいことがあれば、そこから始めてみるといいと思います。
阿部川 日本には「石の上にも3年」ということわざがあります。
パンカー氏 そのことわざは知りませんでしたが、それはとても賢明なアドバイスだと思います。会社の全体像を理解するには、ある程度の時間がかかりますし、また自分のことや自分の持つスキルについて知ることも、同様に時間がかかります。
今日の転職市場を見て残念に思うことの一つは、あまりにも性急に、結果や満足を求め過ぎることです。今すぐにもっと給料が欲しいとか、今すぐにもっと大きな仕事がしたい、あるいは、今すぐに何か大きな貢献がしたい、などです。
しかし実際は、時間をかけてスキルを高めないことには、このようなことを実現できませんし、組織内でそれを証明しないことには、誰もこのような仕事を任せてはくれません。その意味では、私たちは我慢強くならなければなりませんし、新しい機会を提供してくれる会社に対して忠誠心を持つことも必要だと思います。
阿部川 仕事は素晴らしいと同時に、やはり難しいもので、3年や5年くらいの期間である企業の業務全てに精通するのは難しいことだと思います。もし簡単に得られるようなスキルや機会だとすれば、それは同じく、簡単に失くしてもしまうものであるのではないでしょうか。その意味でおっしゃる通りだと思います。素晴らしいメッセージだと思います。
パンカー氏 変化すること、あるいは変化したい、ということを話してきましたが、今ある状況やリソースを徹底的に使い尽くすことが先だと思います。何が身の回りにあるのかをしっかり探して、満足するような機会がなかったときに初めて、外部の機会を探していくのが良いと思います。
Go's“think out loud”〜インタビューを終えて
放送ジャーナリストや編集者の経験からだろうか、質問によどみなく的確に答えてくれる。インタビュアーにこれほど楽をさせてくれる相手も珍しい。おかげで私も十分学び、楽しませてもらった。
チャレンジする年齢にリミットはない、というのはまさに金言。パンカー氏自身も、ジャーナリスト、編集者、マネジメントとして、また勤務地も北米、中国、シンガポールと、変化すること、チャレンジすることでキャリアを積み上げてきた。変化や流動性の高いIT業界にあって、実は社内にこそ新しいチャレンジがある、自らを変える機会があると感じさせ、実際に提供し続けられることが、TechTargetという企業の他社にない強みにもなっている。
ニューヨーク生まれの生粋のヤンキーが、人生最大の思い出は中国の3年間と言い切る。「一番大変だったことは?」と問うと、さらりと受け流して、苦労話ではなく、学ぶことができたあれこれを語りだした。その姿勢に、キャリアアップを上辺だけのひ弱なもので終わらせない秘訣(ひけつ)を感じた。
ITmedia グローバルビジネス担当シニアヴァイスプレジデント兼エグゼクティブプロデューサー、キャスター・リポーター
コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳なども行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在は英語トレーナー、コミュニケーションに関する執筆、講座、講演も行っている。
編集部より
「Go Global!」では、インタビューを受けてくださる方を募集しています。海外に本社を持つ法人のCEOやCTOなどマネジメントの方が来日される際は、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。
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- 「少しうまくいき過ぎている……」と不安になることがある
- オーストラリアに行って陸上を辞めた。高校も辞めようと思っていた
- 9時から17時までなんて日本人は働き過ぎ
- IoTならエジプトの諸問題を解決できる、そして学ぶなら日本がいい
- 日本で仕事すると、打ち合わせばかりしている気がする
- 私は「ナマケモノ」 レイジーになりたいので一生懸命勉強した
- ずっとプログラマーになりたかった
- 前例のないアジャイル事例を達成したらCOBOLプロジェクトを任された
- 人生は勉強だから、いろいろなことを学ばないと
- 父を思い医者を目指し、好きを求め車業界へ しかし国の経済発展を願いIT業界に飛び込んだ
- マネジメントも大切だけど、プログラミングを完全に手放すことはきっとない
- 学校帰りは「PCバンでオンラインゲーム」が、韓国の子どもの日常
- 分からない分、何でもできる。新しく勉強し始める時が一番自由だ
- 校長先生に「マジで行ってほしい」って言われて日本に留学した
- 若者が今、経験していることは私たちが経験したものとは違っている
- 「Apple II」に「Lisa」、そして「Macintosh」 私の青春はAppleとともにあった
- 「床で寝る」って日本の人に言ったら、びっくりされた
- 5歳くらいのとき、父と「これは何?」「CPUだよ」と遊んでいた
- 私には「日本の文化」がインストールされている
- 私はまだ18歳で、それまでの人生の全てはミャンマーに置いてきた
- 「ハードに」ではなく「スマートに」仕事をしていきたい
- 父のようなエンジニアなりたい そして少女は海を渡った
- エンジニアはきっと、皆、同じ夢を見ている
- 「話題にし続けてください。それが世界を変える」 ウクライナのエンジニアは今も戦っている
- 入試の点数は今でも覚えている だって人生で一番大事なことでしょう?
- 日本の女性が「あたし」って言うの、かわいいですよね
- ネパールの最高学府卒エンジニアは、給料の半分以上をふるさとに送金している
- 日本語は「西野カナ」が教えてくれた
- 「ジェイ、どう?」 オフィスの視察かと思ったら面接だった
- 末は「神父」か「エアクラフトエンジニア」か
- 日本人は「なぜこのコードを書いているのか」をおろそかにしがち
- 「最悪のシナリオ」と「最高のシナリオ」に大きな違いがないならリスクがある方を選ぶ
- バグがあっても心配いらない、それは単なるコードです
- 次元削減、局所性鋭敏型ハッシュ――コンピュータサイエンスは美しい
- 七転び八起き エンジニアだから何度でも立ち上がれる
- ラッピングの切れ端から、サンタクロースの正体を知った
- 技術かマネジメントか どちらかではなくどちらも大切
- 兄が私を技術の世界に連れて行ってくれた
- 「左様でございます」 チャレンジだけが成長の種になる
- 「人を幸せにしたい」から、人事を目指し、エンジニアになった
- プロジェクトが終わり、システムが動いている。こんなにうれしいことはない
- 数学が苦手だった、だからITの道に進んだ
- 日本の社会保障は神
- 医者にもなれる成績だったけどプログラマーを目指した。それが海外に出る近道だったから
- 日本のエンジニアは信じられないくらい細部にこだわる だがそれがいい
- セキュリティスキルはポッドキャストで身に付けた
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