データベースの運用を意識したプライベートクラウド構築のアプローチはCAPEXだけでなくOPEXも削減する:データベース運用管理をクラウド化する方法(1)(3/4 ページ)
「社内に散在するデータベースを整理/統合し、運用管理が容易でスピーディに使える統合データベース基盤を作りたい」という企業に適したRDBMSが「Oracle Database 12c」だ。本企画では3回にわたり、同RDBMSを用いたプライベートクラウド構築のポイント、関連ツールを用いた実践ノウハウを紹介していく。[プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][パフォーマンス改善][Oracle Database 12c][Oracle Enterprise Manager]
テレコム・イタリアは約5000のデータベースをDBaaSに集約
同様のアプローチで社内データベースクラウド――すなわち「DBaaS(Database as a Service)」を構築し、データベース基盤の統合と運用の自動化/効率化を果たしたのがテレコム・イタリアだ。
イタリア国内の複数拠点にデータセンターやサービスセンターを構える同社は、約5000のデータベースを抱えており、それらに対して年間で約3万6000件のインフラ変更依頼(メモリやストレージの追加依頼など)が発生していたという。大規模なデータベース環境であるため、一つのデータベース環境をセットアップするのに週単位の期間を要し、データベースやOSのバージョン、サーバー/ストレージの種類の組み合わせは約700種にも上った。その結果、運用管理の業務が複雑化し、ハードウエアリソースの利用効率が低いといった問題が深刻化していた。
この問題を解決するために、同社は統合データベース基盤としてDBaaSの構築を決断。三つのサービスレベルとアーキテクチャの実装方式を定め、五つの標準構成パターンによりデータベース環境を標準化した。これにより、保守コストを約80%削減した他、セットアップ工数も約60%短縮し、データベースのプロビジョニングを約80%短縮して時間単位で構築できるようになるなど、俊敏性が格段に向上。さらに、サービスレベルを事前に定義することでシステム全体として高いサービスレベルを確保するなど、さまざまなメリットが生まれている。
プライベートクラウドの構築に適したOracle Database 12cのマルチテナントアーキテクチャ
このようなデータベースクラウドに適した技術としてオラクルが提供しているのが、Oracle Database 12cに備わる「マルチテナントアーキテクチャ」だ。
マルチテナントアーキテクチャでは、データベースごとにインスタンスを立ち上げるのではなく、「コンテナデータベース(CDB:Container Database)」と呼ばれるデータベース上に複数の仮想的なデータベースとして「プラガブルデータベース(PDB:Pluggable Database)」を作る。各PDBは独立性が担保されており、接続するアプリケーションに対しては通常のデータベースとして動作する。
マルチテナントアーキテクチャは、従来のインスタンス統合やサーバー仮想化と比較して、メモリ領域やバックグラウンドプロセスを共有することで高い集約率を誇り、投資対効果の高いプラットフォームを構築することができる。
運用面においてマルチテナントアーキテクチャを利用する最大の利点は、CAPEXだけではなくOPEXも大幅に削減可能な点だ。具体的には、アップグレードやバックアップなどの作業を大幅に簡素化できる。CDB単位で複数のPDBをまとめてアップグレードすれば、個別に作業する場合と比べて大幅に作業工数や負担が軽減する。PDB単位での操作も可能であり、例えば特定のPDBだけを取得したバックアップから個別にリカバリを行うこともできるため、効率的かつ柔軟な運用管理が実現されるのだ。
また、PDBは別のCDBに移動したり、複製(クローニング)したりといったことも容易に行える。そのため、本番環境のデータベースを開発環境に複製するといったことが簡単にできる点もマルチテナントアーキテクチャの大きなメリットである。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年10月28日