高知編:仕事はあるの? 給料は?――はちきん娘が統計情報から読み解く高知暮らしの実情:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(1)(3/4 ページ)
都会から地方にU/IターンしたIT関係者が地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく本連載。まずは高知にUターンしたはちきん娘(土佐弁で男勝りでハツラツとした女性)が高知編をお届けする。高知をはじめたとした地方への移住を検討するエンジニアの参考になれば幸いだ。
不安その2:どうせ給与は安いんでしょ?
「地方は給料安くて大変なんじゃない?」と想像している方も多いでしょう。では高知県が発表している資料から、給与水準を見てみましょう。
高知県と全国の平均給与比較
高知県庁は毎年8月に「勤労統計調査特別調査」を行います。これは、高知県にある社員5人以上の会社の中から、厚生労働省が無作為に抽出した約600事業所を対象に行う調査です。下記は、平成26年度の「毎月勤労統計調査地方調査年報」から抜粋した、平均賃金の比較表です。
昨年の高知県平均賃金は「29万5001円」でした。過去2年間上昇していますね。次に、産業別の統計を見てみましょう。
下は「宿泊業、飲食サービス業の12.7万/月」、上は「教育、学習支援業の47.6万/月」と、産業間での賃金格差が大きいのが分かります。結論は、「地方の給料は、どの産業で働くかによる」というところでしょうか。
不安その3:車がないと生活できない?
平均的な通勤手段はマイカー
主要な駅の近くに住んでいても、通勤先が駅から近いとは限らないので、移動手段の第一選択肢は必然的に「車」になります。
では、車がないと高知では通勤できないのでしょうか。いえ、そんなことはありません。「公共交通機関」というオプションがあります。
1 鉄道
高知には、「JR土讃線」「予土線」「土佐くろしお鉄道」「土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線」の各種鉄道が走っています。
主に高知の海寄りを走る鉄道で、ディーゼルで走り電線は通ってないため「電車」ではなく「汽車」と呼ばれています。余談ですが、上京している人がときどき高知へ帰省して「電車」と口走ろうものなら、途端に「非県民」扱いをされてしまうという「高知あるある」があります。
ただ、これらの鉄道は、高知県を横断するように西〜東を走り、中心部からは香川方面へ路線が伸びています。ご覧の通り路線数が少ないので、駅近辺に住んでいない場合はスーパーなどちょっとした買い物にも車が必要になることが分かります。
運賃はやや高めです。都市部と比べて車両数も利用者数も桁違いに少ないので致し方ないところではあります。
東京 | 区間 | 距離 | 運賃 |
---|---|---|---|
山手線 | 渋谷〜東京 | 約14キロメートル | 194円 |
土讃線 | 高知〜山田西町 | 約14.5キロメートル | 260円 |
東京と高知の運賃比較:汽車(2015年11月現在) |
都市部とのさらに大きな違いは「運行本数」です。
よく「田舎の電車は一時間に1本くらいでしょ?」と言われますが、はい、その通りです。通勤時間帯などは多少増えますが、基本的にはこのくらいの間隔です。
山手線の5分に1回レベルに慣れていると待ち時間がこらえがたく、つい追加料金を払って特急列車に乗ってしまいます。
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