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良い仕事をするために必要なたった一つのもの田中淳子の“言葉のチカラ”(25)(1/2 ページ)

良い仕事をするために必要なものとは何だろう? 収入、やりがい、それとも?……人材育成歴30年の田中淳子さんが、職業人生の節目節目で受け取ってきた言葉たちを紹介する本連載。今回は「良い仕事をするために必要なものは何か」をシンプルに考える。

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田中淳子の“言葉のチカラ”
「田中淳子の“言葉のチカラ”」

連載目次

 人材育成歴30年の田中淳子さんが、人生の先輩たちから頂いた言葉の数々。時に励まし、時に慰め、時に彼女を勇気付けてきた言葉をエンジニアの皆さんにもお裾分けする本連載。

 前回は、つい誰もが口にしがちな「あなたは、いいよね」について考えた。今回は、淳子さんが出会った3人のビジネスパーソンのエピソードを基に「良い仕事をするために必要なものは何か」を考える。

エピソード1:愛ですよ! 愛っ!

 ある企業で広告宣伝を担当している知り合いがいる。彼女は新しい製品が発表されると、その製品がユーザーにどのような喜びをもたらすのか徹底的に考え、広告やキャンペーンの企画をしたり、ノベルティを作ったりしている。

 彼女は、自社製品を自分の子どものように大切にしている。自社の利益だけでなく、製品を大勢のユーザーに愛用してもらうために何ができるかを、いつも真剣に考えている。製品と向き合う気持ちが常にあるのだ。

 「田中さん、私、のある仕事って大切だと思うんです。製品の良さをどう伝えれば良いか、どういうキャンペーンならユーザーに喜んでもらえるか、徹底的に考えられるのは、があればこそ、と思うんです。だから、私、愛のない仕事をする人は、イヤなんです! 仕事は、愛ですよ! 愛っ!

エピソード2:愛をください

 自社製品を開発している会社のプロジェクトマネジャーが、担当製品をプレゼンテーションしているのを聞いたときのことだ。

 プレゼンはデモンストレーションも交えた分かりやすいもので、初めて聞く人にも十分に製品の特徴や利点が理解できる内容だった。

 ところが、だ。

 彼のプレゼンには心に響くものがない。「なぜだろう」としばらく考えて、はたと気付いた。そこで、思い切って彼に尋ねた。

 「今のプレゼン、話し方もデモンストレーションも分かりやすくて、十分理解できました。ただ、一つ質問していいですか? 今紹介してくださった製品のこと、あまりお好きではないのかなと思ったのですが、いかがですか?」

 「え? どうしてそれが分かるんですか?」

 「何となく『愛』が感じられないなぁと思って」

 指摘は図星だったようで、彼は訥々と話し始めた。

 「実は、今プレゼンした製品は前任者から引き継いだばかりなんです。前任者が用意した資料やプレゼンのストーリーはあるので一通りのことは話せるのですが、今一つ、私がこの製品に思い入れを持てないんです。製品の良さが分からないし、好きにもなれない。こういう気持ち、伝わってしまうんですね」

 そう。があるかどうかは、相手に伝わってしまうものなのだ。

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