今こそ真剣に考える「災害対策システム」──クラウドと「DRBD Proxy」ですぐ構築する方法:DRBDの仕組みを学ぶ(7)(2/3 ページ)
「災害対策」を行っていますでしょうか。必要とは理解しつつも、高額で手をつけられない事情も多くあるでしょう。今回は、中堅中小企業でもソフトウェアのみですぐ実行できる、災害対策システムを構築する方法を解説します。
DRBDとDRBD Proxyをインストールする
OSのインストールと専用領域の準備が終わったら、DRBDとDRBD Proxyをインストールしていきます。
DRBDのインストール手順も前回までに解説しましたが、今回は、DRBD Proxyを使うために手順が少し異なりますので、あらためて解説します。インストール手順とライセンス登録は、特に指定がない限り、一号機と二号機の両方で実行してください。
リポジトリの追加
まず、リポジトリを追加します。
DRBD Proxyの30日間無償ライセンスを申し込むと、「専用リポジトリ」の文字列が返送されてきます。この文字列を含めた「linbit.repo」というファイルを作成し、/etc/yum.repo.d/へ保存します。こちらは、viなどでlinbit.repoを作成し、直接記載しても問題ありません。
[drbd-proxy-3.2] name=LINBIT Packages for drbd-proxy-3.2 - $basearch baseurl=http://packages.linbit.com/<ハッシュキー>/yum/rhel7/drbd-proxy-3.2/$basearch enabled=1 gpgcheck=0 [drbd-8.4] name=LINBIT Packages for drbd-8.4 - $basearch baseurl=http://packages.linbit.com/<ハッシュキー>/yum/rhel7/drbd-8.4/$basearch enabled=1 gpgcheck=0
DRBDとDRBD Proxyをインストールする
続いて、DRBDとDRBD Proxyをインストールします。
# yum install drbd kmod-drbd drbd-proxy
DRBD Proxyのライセンスを登録する
DRBD Proxyライセンスを登録します。DRBD Proxyの30日間無償ライセンスを、「drbd-proxy.license」という名前に変更して、/etc/に配置します。
# cp drbd-proxy.license /etc/ # chown drbdpxy:drbdpxy /etc/drbd-proxy.license
DRBD Proxyの設定を行う
次はDRBD Proxyの設定をしていきます。ここでも、特に指定がない場合は一号機、二号機の両方で実行します
DRBD Proxyの設定も、DRBD設定と同様に/etc/drbd.d/に「r0.res」というファイルを新規作成します。記述例は以下の通りです。
resource r0 { protocol A; device minor 0; meta-disk internal; net { shared-secret "Replication2theCloud!"; verify-alg sha1; csums-alg sha1; } proxy { memlimit 500M; plugin { zlib level 9; } } on bk-proxy1 { disk /dev/sdb1; address 127.0.0.1:7789; proxy on bk-proxy1 { inside 127.0.0.1:7788; outside 10.0.0.1:7788; } } on bk-proxy2 { disk /dev/xvdc1; address 127.0.0.1:7789; proxy on bk-proxy2 { inside 127.0.0.1:7788; outside 10.0.0.2:7788; } } }
diskは、DRBD専用の領域を指定してください。ここで記述した主な設定項目は以下の通りです。
項目名 | 内容 |
---|---|
protocol | レプリケーションモードを指定します。DRBD Proxyを使う場合は「A」を指定します |
meta-disk | メタデータの場所を指定します。同じディスク内にある場合はinternalを指定します |
net | ここでは暗号化に関する設定をしています。暗号化以外の設定も可能です。「Replication2theCloud!」は任意の文字列で構いません |
proxy | DRBD Proxyのメモリの使用量とデータ圧縮形式を指定しています |
on <ホスト名> | DRBDとDRBD Proxyで同期するサーバのホスト名とIPアドレスを記載します。同期元と同期先、二つのサーバ情報と使用するディスク(パーティション)を記載します |
メタデータを作成します。
# drbdadm create-md r0
続いて、DRBD Proxyを起動します。
# systemctl start drbdproxy
そしてDRBDも起動します。
# drbdadm up r0
catコマンドで、DRBDの接続確認を行います。
# cat /proc/drbd
DRBDを初期化する
初回の同期を実施します。こちらはプライマリ機にする一号機のみで実行します。
# drbdadm --force primary r0
同期の進行状況は、以下のコマンドで確認できます。
# cat /proc/drbd
このコマンドを実行すると「初期同期確認状況」が表示されます。cs:Connected、ro:Primary/Secondaryという文字列を確認できたら初期同期は完了です。
初期の同期が完了したら、DRBDのデータ領域をフォーマットします。こちらはプライマリ機である一号機のみで実行します。
# mkfs.xfs /dev/drbd0
最後に、バックアップデータを保存するディレクトリを作成し、その領域をマウントします。
# mkdir /backup # mount /dev/drbd0 /backup
今回は、/backupをバックアップ保存領域としました。こちらは、自身が運用する環境に応じて変更が可能です。
これで構築は完了です。次のページより、試用と実運用のテクニックを解説します。
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