機械学習のモデルそのものを自動的に最適化する技術を開発――リクルートテクノロジーズ:CNNのパラメータ―チューニングを自動化
リクルートテクノロジーズが、機械学習モデルの精度を自動的に向上させる仕組みを構築。手間の掛かるパラメーターチューニングを自動化した。
リクルートテクノロジーズは2016年2月25日、機械学習モデルの精度を自動的に向上させる仕組みを構築したと発表した。2015年12月〜2016年1月にかけての約10日間に、既存の機械学習モデルを自動的に数万回チューニングすることで、精度が約3%向上したとしている。
同社ではDeep Learningを用いた独自の画像解析システムを構築しており、同社が運営するWebメディアで、類似画像の判別や不適切画像の検出などに用いている。
今回の取り組みは、こうした画像検索時に判別精度の自動的な向上を目指すために行われた。従来、IT技術者の手作業に頼っていた、モデルの精度向上のためのチューニングプロセスを自動化することで、システムの改善速度向上と、IT技術者の負担軽減を図るという。
リクルートテクノロジーズの画像解析システムでは、「Convolutional Neural Net(CNN)」と呼ぶ画像解析手法を採用している。CNNでは各種パラメーターを調整(チューニング)することで誤判定率が変化する(CNNそのものやパラメーターチューニングについては、連載『いまさら聞けないDeep Learning超入門』でも紹介している)。
ただし、CNNで調整可能なパラメーターは種類が多く、どのパラメーターをどのように変更したら精度がどう変化するかを見るといった作業を繰り返して最適な設定を見つける必要がある。このプロセスを人手に頼った場合は手間と時間がかかる課題があった。
今回の取り組みでは、こうしたチューニングプロセスを「DFO(Derivative Free Optimization)」と呼ぶ手法を用いて自動化。人手を掛けずにチューニングを繰り返し試行できるようにしたという。その結果、IT技術者の手に頼る工数を最小限に抑え、より多くのサービスに機械学習機能を実装できるようになるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 深層学習の判別精度を向上させるコツとActive Learning
最近注目を浴びることが多くなった「Deep Learning」と、それを用いた画像に関する施策周りの実装・事例について、リクルートグループにおける実際の開発経験を基に解説していく連載。最終回は、画像認識の判別精度を向上させる具体的手順と落とし穴、ハイパーパラメーターのチューニング、学習を自動化するActive Learningについて。 - AWS/Azure上でTensorFlow、CNTKを――機械学習環境のマネージドサービスが登場
クラスキャットが、機械学習環境のマネージドサービス「ClassCat Deep Learning Service v2」の提供を発表した。Amazon Web ServicesとMicrosoft Azureに対応する。 - APIコールだけでおよそ欲しい画像認識系の機能が使えるGoogle Cloud Vision APIとは
グーグルの画像認識APIが限定プレビューに。画像認識や分類などの手間の掛かる実装をAPIコールで外に出せるため、一般的な用途であれば端末側を賢く作り上げる必要がなくなる。