米ローレンス・リバモア国立研究所が「ニューロシナプティックコンピュータ」を導入:脳からヒントを得て開発した「TrueNorth」を搭載
米ローレンス・リバモア国立研究所は、米IBM Researchが脳からヒントを得て開発したチップを搭載するスーパーコンピューティングプラットフォームを購入した。
米エネルギー省のローレンス・リバモア国立研究所は2016年3月29日(米国時間)、米IBM Researchが脳からヒントを得て開発した「スーパーコンピューティングプラットフォーム」を購入したと発表した。Deep Learningを利用した研究に使用するという。
米IBMでは、プラットフォームと同時に、シミュレーター、プログラミング言語、統合プログラミング環境、アルゴリズムのライブラリとアプリケーション、ファイアウォール、Deep Learning用ニューラルネットワークの作成ツール、教育用カリキュラム、クラウドイネーブルメントといった環境も併せて提供する。
このプラットフォームは、IBMのニューロシナプティックコンピュータチップ「IBM TrueNorth」16個を搭載している。TrueNorthは、2014年に「IBM SyNAPSE」として量産化を発表していたもの。
TrueNorthでは、1600万のニューロン(神経細胞)および40億のシナプス(神経細胞の接合部)に相当する処理を行えるという。また、消費電力はタブレット並みの2.5ワットにとどまる。「IBMニューロモーフィックシステム」という脳に似たニューラルネットワーク設計によって、「パターン認識や統合感覚処理などの複雑な認知タスクを、推論によって従来のチップよりはるかに効率的に実行できる」という。
1個のTrueNorthプロセッサは54億個のトランジスタで構成され、それらがワイヤ接続されて100万の「デジタルニューロン」を形成。それらのデジタルニューロンが2億5600万個の電子シナプスを経由して相互に通信を行う。
ローレンス・リバモア国立研究所が導入するこのプラットフォームでは、米エネルギー省の国家核安全保障庁(NNSA)が進めるサイバーセキュリティや核抑止、核不拡散の取り組みに重要な、新しいコンピューティング機能の「探索」に使われるという。
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