「会社」「辞めたい」と思ったら――くじけそうな新社会人への処方箋:仕事が「つまんない」ままでいいの?(16)(3/3 ページ)
新社会人時代は、理想と現実とのギャップにくじけそうになるものです。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは、新入社員に贈る「くじけそうなときの処方箋」です。
最高のクリエイティビティとは?
新入社員時代は、コピーやお茶くみ、電話対応、掃除、書類整理、宴会の幹事など、単調で誰にでもできそうな仕事を任されることが多いものです。「つまんないなぁ」「もっとクリエイティブな仕事をしたいのに」と思うこともあるでしょう。
では、「クリエイティブな仕事」とは何でしょうか? 毎日変化に溢れていて、いろいろな人との出会いがあって、ワクワクするような仕事? もちろん、そういう仕事もないわけではないでしょう。けれども、本当のクリエイティブとは、「誰も気付かないことを創造する力」です。
筆者が「この人はすごいクリエイティブだな」と思うのは、「単調な仕事の中に楽しさを見つけられる人」です。簡単なように見えて、これはとても難しい。
筆者が「クリエイティブだな」と思った例を紹介しましょう。動画をご覧ください。
駐車場の誘導員は、雨の日も風の日も暑い日も寒い日も外にいなければならないし、単調で、楽ではない仕事です。多くの誘導員は「しぶしぶ」仕事をしているように見えます。
しかし動画の誘導員は、キレッキレのダンスで車や歩行者を誘導し、周りの人を笑顔にしています。こういう単調な仕事の中に楽しさを見つけられる人は、本当にクリエイティブだと思います。
たとえ単調な仕事でも、彼のように「何かを変えることによって楽しくなる要素がないか」を探してみてはどうでしょう?
例えば、カスタマーエンジニアのKさんは、マニュアル化された作業が嫌いで、仕事に飽き飽きしていたそうです。そこで、「まだマニュアル化されていない仕事はないか」「このマニュアルをもっと簡単にするためにはどうすればいいか」と考え、改善するようにしたそうです。すると、次第に「自分の意思で仕事をコントロールしている」感が出てきて、仕事が楽しくなったと言っていました。
今は先輩の言われた通りに仕事をしている人も、仕事に慣れてきたら、「もっと早くできる方法はないか」「もっと楽にできる方法はないか」「もっと楽しくできる方法はないか」と考え、試しにやってみて、その結果を先輩に提案してみましょう。先輩も「こいつ、なかなかやるな」と思うのではないでしょうか?
世の中で評価されている商品やサービスって、意外と、「当たり前」の中にある「なるほど、そうきたか!」に着目しているものが多いですよね。「変化」を作り出すことに、楽しみがあるのです。
単調な仕事に楽しさを見つける能力は、あなたの「当たり前の中にある『何か』を見いだす能力」を身につけるトレーニングにもなりますよ。
逆境に立たされたときに楽しく生きていく力を身に着ける
新入社員時代は、理想と現実とのギャップに、誰もがくじけそうになるものです。けれども、これからの長い社会人生活を楽しく過ごすためには、逆境に立たされたときに楽しく生きていく力を自分の中にどれだけ開発できるかにかかっています。
その力を最も磨けるのは、若く柔軟な新入社員時代、つまり「今」です。
これからの社会人生活を楽しくするためにも、くじけず、諦めず、前を向いて、歩んでください。そして「楽しく」働いてくださいね。
今回のワーク
大切なのは、「なるほどね」で終わらせないことです。静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。
1 現在抱いている会社への不満、上司や先輩の愚痴を書き出してみましょう。誰に見せるものでもないので、遠慮なしに書き出すのがポイントです
2 その中に「理不尽なこと」や「単調な仕事」があったら、「5W1H」の視点でさらに具体的にしてみましょう
3 続けて、「本当はどうしたいのか」「分かってもらうためには、何かできることはあるか」「自分の力で改善できそうなことはないか」を考えます
4 少しの努力でできそうなことがあれば、今すぐ、やってみましょう
筆者プロフィール
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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