「会社」「辞めたい」と思ったら――くじけそうな新社会人への処方箋:仕事が「つまんない」ままでいいの?(16)(2/3 ページ)
新社会人時代は、理想と現実とのギャップにくじけそうになるものです。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは、新入社員に贈る「くじけそうなときの処方箋」です。
「会社を辞めたい」本当の理由
最初に、新社会人の離職状況を見てみましょう。
厚生労働省が平成27年に発表した、「新規学卒者の離職状況(平成24年3月卒業者の状況)」によると、四年生大学卒業者の「約3割」が、「卒業後3年以内」に会社を辞めているそうです。
実際に会社を辞める人が3割ですから、「辞めたいと思ったことがある」を含めると、半数ぐらいの人は、「会社を辞めたい」と思った経験が一度ぐらいはあるのではないでしょうか。
筆者も「辞めたい」と思ったことがあります。
最初に入った自動車会社は、製造ラインでの工場実習がありました。たった3カ月間なのに、「この仕事は合わない。車を組み立てるために会社に入ったわけじゃない」と、会社を辞めたくなり、親に電話して、「そんなことで辞めてどうする? 辞めるなら10年ぐらい働いてからだ」と諭され、辞めるのを泣く泣く諦めたクチです。
「安定はしているが、成長機会がない」「思い描いていたキャリアと違う」「自分の将来像と重なる部分がない」などの言い訳もできますが、正直、そこまで深く考えてはいませんでしたよ。「嫌だった」……ただ、それだけ。
今になって思えば「あの時、辞めなくて良かった」。もし辞めていたら、変な「辞め癖」がついていたかもしれませんし、その後のいろいろな人との出会いや楽しさも経験できなかったでしょう。
会社を辞めたくなるのは、「この状態がずーっと続くのではないか」と思ってしまうからではないでしょうか。けれども、成長すれば他の仕事も任されます。もし嫌なことがあったら、「将来、話のネタにしてやろう」くらいに思っておくといいかもしれません。
「理不尽さへの対応力」は、将来きっと役に立つ
理不尽な仕事が続いて、会社を辞めたくなることもあるでしょう。
例えば、「上司の意見が絶対で反論できない」「『分からないことは何でも相談して』と言われたから相談したら『自分で考えろ』と言われる」「『最近の若いやつはこれだから困る』と嫌みを言われる」「希望した職種とは全くの関係ない仕事や配属先」などがそうです。きっと、「オレ(ワタシ)は、こんなことをするためにこの会社に入ったんじゃないぞ!」と思うのではないでしょうか。
理不尽と戦うか、逃げるか――そのどちらでもなく、理不尽さへの対応力、適応力を付けることを、筆者はオススメします。しかも、できるだけ、頭の柔らかい若いうちにです。なぜなら、仕事とはある意味「理不尽さとの戦い」の繰り返しだからです。
ここで、個人的な話をすることをお許しください。
筆者は「しごとのみらい」というNPO法人を経営しています。ビジョンは「楽しく働く人、組織、社会を作ること」、ミッションは「労働者が抱えるストレスや精神的疾病を、根本原因から解決すること」「仕事に対する価値観を、『ツライ』『大変』から、『楽しい』に変えていくこと」です。
これらを実現するために、書籍や記事の執筆、コミュニケーション研修を行っていて、さらに農業や自然体験を通じた「ストレス耐性(メンタルタフネス)向上プログラム」を組んでいこうと計画しています。
暖かい土に触れるとそれだけで癒されるし、お米の苗を植えたり、草むしりをしたりする単純作業って、頭の中が無になって結構いいんです。植物の生長と自身を重ねて人生を振り返ることもできます。
ですが、この計画を人に話すと、「そもそも、仕事って大変なものでしょう?」「やる価値あるの?」「ニーズは? ターゲットは?」など、いろいろな批判的意見を言われます。
しかし、「分かってくれない○○さんが悪い」と、誰かや何かのせいにして、不平不満を愚痴っても何も始まりません。世の中には、自分と考えが異なる人が必ずいます。その中でやりたいことを実現するためには、どんなに理不尽な思いをしても、めげず、諦めず、「どうすれば実現できるか」を考えて、突き進むしかありません。
「やりたいことを実現する」とは、そういうことです。「理不尽さとの戦い」なのです。
新入社員の皆さんは、まだ、仕事に慣れることに一生懸命でしょう。理不尽さを感じることもたくさんあるでしょう。けれども、近い将来、「本当にやりたいこと」や「実現したいこと」が見えたときに、若い時に身に付けた「理不尽さへの対応力」「折り合いを付ける力」「分かってもらう力」は、きっと大きな武器になります。修行した結果は、間違いなく、全てあなたに返ってきます。
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