ロボットカーで情報セキュリティを学ぼう! 中学生が見慣れぬコマンドラインと奮闘:セキュリティ・ジュニアキャンプ in 高知レポート(前編)(2/3 ページ)
本稿では、2016年6月25〜26日に高知県の高知工業高等専門学校で開催された「セキュリティ・ジュニアキャンプ in 高知 2016」レポート前半をお届けする。
慣れないCLIに戸惑いながら、ロボットカーの操作コードを書く中学生たち
1日目の初めには、ロボットカーを動かすためのLinuxやプログラミングの基礎に関する講義が行われた。ロボットカーは、小型PC「Raspberry Pie 2 Model B」を搭載しており、PCから無線LAN経由でRaspberry PieのWebサーバに接続し、ロボットカー前方に取り付けられたカメラや車輪を制御するDCモーターを操作する仕組みだ。
ロボットカーの構成や操作の概要は講師の服部祐一氏が説明し、Linuxの基本コマンドやnanoテキストエディタを使ったファイルの編集方法などは、茨木隆彰氏が解説を行った。全体像が見えたところで、いよいよプログラミング開始だ。
なお、ロボットカーを操作するためのプログラムには、既に前進・後退・停止を指示するコードが書かれている。あとは、これらのコードを応用して左右に旋回するコードを書くのが学生たちの役目だ。また、毎回コマンドを入力しなくてもいいように、左右・前進・後進をボタンで操作できるWebページも作成する。
とはいっても、WindowsやMacのグラフィカルなインタフェースしか知らない中学生たちにとって、Linuxでのコマンド操作は未知の世界だ。本講座の1週間前にはLinuxを使ったことがない希望者向けに90分の事前勉強会が開催されたが、慣れない操作環境に苦戦する参加者も少なくなかったようだ。
小学校5年生のときに父親からPCを与えてもらったと話す中学1年生は、「普段はWindowsしか使っていないので、Linuxの黒い画面が難しく感じる」と冴えない表情。また、学校でも仲良しと話す中学3年生の2人組は「隔週1回のITの授業で、Scratchでロボットカーを操作するプログラムを作ったことがある」と教えてくれた。そのため、コンポーネントを組み合わせるという発想は受け入れやすかったようだが、その中身を自分で書くことにはやはりなじみがないようで、戸惑っている様子だった。結局、初日は多くの参加者がプログラムを完成させることができず、翌日に作業を持ち越すことになった。
夕食後は座学の時間だ。最初にセキュリティ・キャンプ講師の園田道夫氏が、脆弱(ぜいじゃく)性やバグとは何か、攻撃を防ぐにはどう対策すべきか、といった議題を投げ掛け、ディスカッションを行った。攻撃を受けたらどうするかという質問に対して「反撃する!」と即答する参加者を、「それは危険な考えだ」と園田氏が苦笑しながらたしなめる場面もあるなど、最後まで活発な意見が交わされた。
また、続く講義では、同じくセキュリティ・キャンプ講師のはせがわようすけ氏が、Webアプリケーションなどに脆弱性があると何が起こるのか、どうすれば対策が可能なのかを説明。欠陥のあるゲームでチートができるかどうかを実際に触って探るなど、飽きさせない仕掛けで情報セキュリティの大切さを伝えた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.