AI/ディープラーニングに特化、GPUサーバ続々──HPEとIBMが新製品を発表:HPEが「HPE Apollo 6500」、IBMが「IBM Power Systems LS」を投入
HPEとIBMが、ディープラーニングに特化したGPUコンピューティング対応サーバの新製品を発表した。
今後のビジネスを変革する技術と期待される、AI(人工知能)、機械学習、ディープラーニングのトレンドに沿い、それらを実現するHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)マシンの需要が急速に高まっている。日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)と米IBMはこのほど、ディープラーニングに特化したサーバの新製品を発表した。
HPEが2016年9月9日に発表した「HPE Apollo 6500 System」は、サーバ向けグラフィックスカードを最大8枚まで搭載可能な2台のサーバを、専用4Uシャシーへインストールして提供するマルチノードサーバ。1CPU当たりのGPU数の多さ、4Uのスマートなフォームファクタ、発熱を考慮した効率的なサーバ設計を通じて、ディープラーニングによるレコメンデーションアルゴリズムや検索技術、音声認識といった処理をより高速かつ効率的に実行できるように設計されている。コストを抑えながらもモデルの検証期間の短縮を実現し、リアルタイム分析の効率をより高めるという。
HPEは、Apollo 6500をNVIDIAの「Tesla Accelerated Computing Platform」といったGPUコンピューティングプラットフォームとともに使用することで、さまざまなディープラーニングツールを使ったGPUコンピューティングの能力を最大化できるとしている。
2016年9月9日に販売開始。価格は289万6000円(税別、以下同)から。
「POWER8」と「NVIDIA Tesla」を直接接続した「IBM Power System S822LC
一方、IBMは2016年9月8日(米国時間)、AIやディープラーニング、ハイパフォーマンスデータ分析など、計算負荷の高いワークロード向けに設計された「Power Systems LC」シリーズの新型Linuxサーバ3モデルを発表した。
IBMは、こうしたワークロードのためには「従来のx86ベースのコモディティサーバでは対応できない、新たなレベルのコンピューティングパワーが要求されている」と位置付ける。高まるHPCのニーズに応えるため、同社はOpenPOWER Foundationのメンバー企業と協力し、オープンなシステム設計アプローチにより、幅広いアクセラレーション技術の活用を進めている。
今回発表された中でも最上位の「IBM Power System S822LC for High Performance Computing」は、新設計のプロセッサ「IBM POWER8」と「NVIDIA NVLink」技術を搭載し、POWERアーキテクチャならではとうたう新たな機能を実装した。
具体的には、高速で省電力のインターコネクト技術であるNVIDIA NVLinkで、POWER8プロセッサと「NVIDIA Tesla P100 Pascal GPU」を直接接続。NVIDIA NVLinkをシリコンレベルで組み込み、全体的なシステム設計に統合した。従来のx86ベースのシステムと比べ、5倍高速なデータ伝送を実現するという。
他の2つの新モデル「IBM Power System S821LC」と「IBM Power System S822LC for Big Data」も、GPUコンピューティング技術を活用してシステムパフォーマンスを向上させることができる。「NVIDIA Tesla K80 GPU」をPCIe接続で装着可能だ。
IBMは、これら3モデルの価格性能比の高さを強調しており、HPC環境を望む企業やクラウドサービスプロバイダーはこれらの新製品によって、データセンタースプロール(サーバの無秩序な増殖)対策とコスト削減を同時に図れると述べている。
新Power LCサーバのオンライン最小構成価格は5999ドル(約61万9000円)から。Power System S821LCとPower System S822LC for Big Dataは既に販売を開始、Power System S822LC for High Performance Computingは2016年9月26日に出荷を開始する。
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