マイクロソフトが「AIで主導権を握る」ために取る4つのアプローチとは:5000人規模のAI研究専門チーム「Microsoft AI and Research Group」を新設
マイクロソフトが、総勢5000人以上のAI製品研究開発チーム「AI and Research Group」を設置。今後、同社が「AIで主導権を握る」ために注力する4分野も明らかにした。
米マイクロソフトは2016年9月29日(米国時間)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)製品の研究開発に当たる専門組織「Microsoft AI and Research Group」を新設した。5000人以上のコンピュータ科学者およびエンジニアで構成される。コンピュータビジョンの権威であるハリー・シャム氏がAI and Research Group担当のエグゼクティブバイスプレジデントに就任し、同チームの指揮を執る。
マイクロソフトはAI and Research Groupの設立を、「AI利用のハードルを下げ、AIを誰にでもアクセスしやすく、価値あるものにし、社会のさまざまな困難な課題の解決につなげることに注力するため」としている。AI and Research Groupの新設により、エージェント、アプリケーション、サービス、インフラといった分野で顧客への新しい機能の提供が劇的に高速化するはずと同社は述べている。
新チームには、シャム氏がこれまで率いてきたチームの他、情報プラットフォーム、コルタナおよびBing、アンビエントコンピューティング、ロボティックス開発の各チームも加わり、AI製品のエンジニアリング、基礎、応用研究ラボ、New Experiences and Technologies(NExT)を包含することになる。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、次のように述べている。「マイクロソフトは、インテリジェンスが当たり前のように活用され、差し迫った課題の解決に役立てられるようにすることで、人と組織に力を与えることに注力している。そのために、私たちが提供するコンピューティングプラットフォームやその利用体験全般に、AIを取り入れている」
マイクロソフトは今後、「AIで主導権を握る」ために以下の4つの取り組みに注力する。
- エージェント:マイクロソフトのデジタルパーソナルアシスタント「コルタナ」のようなAIを利用したエージェントにより、人とコンピュータのやりとりを根本的に変える。
- アプリケーション:スマートフォンの写真アプリから、スカイプやOffice 365などに至るまで、全てのアプリケーションにAIによる機能を取り入れる。
- サービス:視覚/聴覚などの認知機能、機械学習を利用した分析などのインテリジェント機能を全てのアプリケーション開発者に提供する。
- インフラ:Microsoft Azureを利用して、世界で最も強力なAIスーパーコンピュータを構築し、それを誰でも利用できるようにする。
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