マイクロソフト、GeneeのAIスケジュール管理機能をOffice 365に統合へ:スケジュール管理を楽にする仮想アシスタント技術
マイクロソフトは、AIベースのスケジューリングサービスを手掛けるGeneeを買収。この仮想アシスタントによるAIスケジュール管理機能をOffice 365へ統合する考えを示した。
米マイクロソフトは2016年8月22日(米国時間)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)ベースのスケジューリングサービスを手掛けるGeneeを買収することで合意したと発表した。
Geneeは、AIによる自然言語処理でユーザーの要望を理解するボット(仮想アシスタント)を開発し、会議の設定やカレンダー管理を支援するサービスを展開するスタートアップ。自然言語処理と最適化アルゴリズムを利用して、例えば人間の秘書と会話するかように仮想アシスタントとやりとりし、ユーザーのスケジュール管理を支援する。マイクロソフトのOutlookおよびOffice 365担当コーポレートバイスプレジデントを務めるラジェッシュ・ジャー氏は、次の例を挙げてGeneeの仕組みを説明した。
「あなたが見込み客のダイアナさんと会いたいとする。ダイアナさんへアポイントのメールを送る際に、他のメンバーと共有するときのように、CC欄にGeneeを含める。するとGeneeは、あなたが『来週の空いている時間に、ダイアナさんと会おうとしている』ことを理解する」
「そして、あなたの予定、さらにこれまでの傾向から好みの時間帯も考慮した上で候補スケジュールを出し、ダイアナさんに直接メールで連絡。日時を決めてスケジュールに入れる。さらにあなたの代わりに、アポイントに応じてもらったお礼のメールまで送ってくれる。こうしてアポイントを取り付けるプロセスを効率化することで、あなたが本来のタスクに集中できる時間を増やしてくれるというわけだ」
ジャー氏は、Geneeへの期待を次のように表明している。「Geneeチームをマイクロソフトに迎えることを楽しみにしている。ユーザーにとって価値のある、Office 365での生産性およびサービス体制をより強固にできる」
一方、Geneeの共同創業者のベン・チャン氏とチャールズ・リー氏による同社の公式ブログへの投稿で、同社でのGeneeサービスは2016年9月1日をもって終了すると告知した。Geneeがユーザーのカレンダーからリマインダーや予定を送ることはなくなるが、Geneeが作成した既存のカレンダーエントリは全て残される。「Geneeチームはこれまでの貴重な経験と教訓を携えて、マイクロソフトで活動を継続する」と両氏は述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IBM、「コグニティブ時代の開発者」を支援する4つの新施策を発表
米IBMは、インドのバンガロールで開催されたイベントにおいて、クラウド、コグニティブ、IoTなどの新技術に携わる開発者を支援するための4つの新施策を発表した。 - 女子高校生AI「りんな」や食べ物画像判定サービスに見る、精度向上の鍵とは
多くの人々にとって身近な存在になりつつある「人工知能」。「Microsoft Innovation Day 2016」で紹介された、2つのサービスを取り上げることで、要素技術や課題、応用分野、活用業種などを考察する。 - 「AI」「機械学習」「ディープラーニング」は、それぞれ何が違うのか
「AI」「機械学習」「ディープラーニング」は、それぞれ何が違うのか。GPUコンピューティングを推進するNVIDIAが、これらの違いを背景および技術的要素で解説した。 - 第191回 AIブームがやってきた?
将棋や囲碁の対戦でコンピュータが勝利するなど、人工知能(AI)に関する話題が新聞をにぎわせている。さまざまな分野での応用が発表され、1980年代に続く、AIブームを巻き起こしている。はてさて、今度のAIブームはモノになるのだろうか? - AIで未知のサイバー攻撃を自動検知、NECが自己学習型技術を開発
NECは、未知のサイバー攻撃を、人工知能技術で自動検知する「自己学習型システム異常検知技術」を開発した。システムの定常状態を機械学習し、定常状態と現在のシステムの動きを比較することで攻撃を検知する。