自然体のセキュリティ女子3人が語る「就活に王道なし」:まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと(12)(3/3 ページ)
大企業で活躍しているエンジニアは、学生時代から意識高く技術の研さんを積み、インターンでいろいろな経験をしてきた人ばかり……とも限らないようだ。仕事を、人生を楽しむセキュリティ女子の学生時代や就活の思い出とは?
就職活動に「コツ」はない?
平野さん、森さん、それに元林さんのキャリアを聞いていて痛感するのは、奇をてらうことなく、まじめな学生生活を送ってきたということだ。3人とも、ことさらアピールするまでもなく、自然に学業に力を入れてきた経験を振り返り、「もう少し遊んでおけばよかった」(平野さん)という。
もちろん就職活動に当たっては、「リクナビ」を見たり、「みんなの就職活動」を参照したりと、それなりに情報収集・情報交換は行ったそうだが、それに頼り過ぎることなく試験や面接に臨んだそうだ。「就職試験ではグループディスカッションがとても楽しかった記憶があります。ワイワイ話していて、気付いたら受かっていたという感じです」(元林さん)
「面接は練習して何とかなるものではありませんが、アルバイトや学外活動でいろいろな人と話をする場数を踏んでおくことは大事だと思います」(平野さん)
「質問するとき、何がどのように分からないのかが分からなければ教える側も困りますよね。『なぜなぜ分析』ではないですが、なぜ分からないのか、何が分からないのかを尋ねるやり方を理解しておくと、人と接するとき楽になると思います」(森さん)
就職先探しの「コツ」を聞いたところ、3人とも首をかしげてしまった。最近ではインターンシップが当たり前のようになっているが、それを「必須」と捉えるのはどうも窮屈に感じるとも話す。インターンは社会人生活への助走ではなく「社会経験」の1つとして捉えるべきではないかとのことだ。実際、3人ともインターンは経験しておらず、アルバイトは「私、お肉屋さん!」「私は私立高校の制服販売!」と、いたって普通だ。
就職時にはあまり深く考えていなかったが、今になってみればしっかりチェックしておけばよかったという事柄が「福利厚生」、特に「産休」に関する制度だ。
平野さんは2児の、また森さんは1児の母親として、仕事と家庭を両立させている。「1年8カ月の産休・育休後に復帰して、今は時短勤務ですが、復帰を快く受け入れてくれる社風や制度が整っているのはうれしいです」(森さん)。平野さんも、「就職活動の当時はあまり意識しませんでしたが、出産後も働き続けたいならば、この種の制度は気にした方がいいですね」という。
大手企業にはこうした良さがある一方で、「規模が大きいと、何事にしても手続きや承認に時間がかかるという側面もあります。ベンチャー企業はこうした動きがとても早いですよね」と平野さん。
そして、就職先や職種を探す際には、「自分はこうだ」とこだわり過ぎないことが大切、というのが3人共通の意見だ。
人と接するのが苦手だと思っていたら、いつの間にかプロジェクトの中で各所の調整やスケジュール管理に携わることになった元林さんも、産育休から帰ってきてサイバーセキュリティグループに配属され、「自分では基盤構築業務が性に合っていると思っていたが、これはこれで楽しい」と言える森さんも、できないと思っていたこと、できると思うことにこだわり過ぎることなく、自然に合わせ、楽しんでいる。
セキュリティというとどうも怖そう、難しそうというイメージを持たれがちだが、「攻撃や漏えいというとハードルが高そうですが、身近な問題から入っていけば理解してもらいやすいのではないでしょうか」(森さん)、「セキュリティに関わる業務といっても必ずしもCTF(※)などに出ないとだめ、というわけではありません。私たちの仕事は、普段のシステムインテグレーション業務の延長線上にあると思います」(元林さん)という。
次回も、トップエンジニアに就活のアドバイスを聞く
本連載では、今後もIT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞いていく。ぜひお楽しみに。
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