IBM、Watson技術を使うデータ分析プラットフォーム「Watson Data Platform」を発表:高速データ取り込みエンジン+機械学習機能を搭載
IBMが、高速なデータ取り込みエンジンや機械学習機能を提供する「IBM Cloud」ベースのデータプラットフォーム「IBM Watson Data Platform」を発表した。
米IBMは2016年10月25日(米国時間)、「IBM Cloud」及び同社のコグニティブ技術「Watson」をベースにしたデータプラットフォーム「IBM Watson Data Platform」を発表した。高速なデータ取り込みエンジンやコグニティブ技術を用いた意思決定支援機能を提供し、ビジネスへのデータ活用の課題となっているデータ専門家の共同作業を支援する。
IBMは、「80%の企業が、『チーム間で共通のデータを効果的に協力して活用できていないことが、ビジネス目標を迅速に達成する妨げになっている』と考えている」というHarvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)誌の最近の調査結果を引用し、「データ専門家は、サイロ化した閉じた環境で業務に当たっている。習熟している言語はまちまちで、データに関する共通の一貫した視点に欠け、データの収集とクレンジングに時間をかけすぎている」と指摘。Watson Data Platformはこうした課題の解決を支援するという。
Watson Data Platformは、データ専門家(データサイエンティスト、データエンジニア、ビジネスアナリスト、開発者など)が任意の言語やサービス、ツールを使って共同でデータセットの活用に取り組めるようにすることで、高度なコラボレーションを実現する。また、データから得たインサイトをデータ専門家が簡単に可視化し、全社で共有できるようにする。
「Watson Data Platformは、機械学習モデルの作成をコグニティブ技術“Watson”で支援し、データからのインサイトの抽出を大幅に高速化する。さらに、アプリ開発者から最高データ責任者まで、誰もが機械学習サービスや言語に1カ所からアクセスできるようにし、シームレスなコラボレーションを可能にする」(IBM Analytics担当上級副社長のボブ・ピッチャーノ氏)
Watson Data Platformでは、直感的なセルフサービス型インタフェースで機械学習を容易に利用できる「IBM Watson Machine Learning Service」も提供する。
Watson Machine Learning Serviceは、「Apache Spark」上に構築し、構造化および非構造化データとオープン機械学習ライブラリからモデルを作成してビジネスにモデルを迅速にデプロイできるようにするサービス。業界で最も包括的と同社がうたうアルゴリズムセットを備える。
データ専門家は、Watson Data Platformで以下の機能を利用できるようになる。
- 多様な大量のデータをクラウドに高速に取り込む。取り込み速度は100GB/秒以上
- データのクレンジング、編集、シェーピングによってモデリングを容易にする
- 必要に応じて協力者を追加したり、削除したりして、バージョン管理を維持する
- サービスを分析ノートブックにドラッグ&ドロップし、生産性や時間管理の向上を図る
Watson Data PlatformはSQL、Python、R、Java、Scalaなどの言語に対応。また、20社以上のエコシステムパートナーが、プラットフォームサービスを拡張するサービスを提供しており、データ専門家はこれらのサービスも横断して利用できる。Watson Machine Learning ServiceはWatson Data Platform上、またはIBM Bluemix、z/OS上で、API(Application Programming Interface)として利用できる。
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