結果は出せなかったけれど、頑張ったのでお金はくださいね――全ベンダーが泣いた民法改正案を解説しよう その3:「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(33)(1/4 ページ)
IT紛争解決の専門家 細川義洋氏が、IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。民法改正がIT業界にもたらす影響の解説、第3回はIT関連のサービスでよく取り交わされる「準委任契約」を解説する。
2017年に施行が見込まれる民法改正案のうち、IT開発プロジェクトに関連深いと思われるポイントを解説する3回シリーズ、第1回は消える瑕疵担保責任という考え方を、第2回は請負契約の支払いの変更点を解説した。
今回はIT関連のサービスでよく取り交わされる「準委任契約」を解説する。
準委任契約における「受注者の責任」とは
現在の準委任契約は、発注者が受注者に「作業」を委託するもので、何らかの「成果物」を目的とした「請負契約」とは異なる。
受注者が発注者に約束するのは、「必要なスキル・知識を持った人間が、一定の時間、発注者から任された仕事を真摯(しんし)に行うこと」であり、原則、成果物の完成は費用支払いの条件とはならない。プログラマーであれば、「出来上がったプログラム」ではなく、「プログラミング作業」が支払いの対象となる。
つまり請負契約では、受注者が「どんな作業」を「どのように」行おうと、最終的な成果物さえ納めれば、それがどのようにして作られたものであろうと発注者の預かり知らないところである。
一方で、準委任契約の場合、受注者の作業の「品質」が問われることになる。チェックの細かさや方法はさまざまだが、発注者は、受注者が「十分な知識スキルを持っているか」「真摯な作業を行っているのか」を、業務報告書などを検査したり、作業状況を目視で確認するなどして確認する。(※)。
簡単にいえば、「成果物に責任は持たないものの、その専門性を生かして一生懸命仕事をする」のが準委任契約における受注者の責任だ。
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