SDS機能を実装 冗長化支援ツールの最新バージョン「DRBD 9」は何が便利になったのか:DRBDの仕組みを学ぶ(14)(2/4 ページ)
DRBDを軸に、データを遠隔地にも即時複製して万が一の事態に備える「冗長化/高可用性システム」の構築テクニックを紹介する本連載。今回は、DRBDの最新版である「DRBD 9」の新機能を解説します。
「DRBD 9」に備わる6つの新機能
では、DRBD 9の新機能を細かく見ていきましょう。
新機能 1:多ノード構成&データ再配置(スケールアウト、リソース移動)
前述したように、DRBD 9では、「多ノード構成」と「データ再配置」が可能となりました。例えば、以下のようにシステムを構成できます(図3)
図3では、3台のサーバに、リソース「r0」と「r1」をそれぞれリアルタイムにレプリケーション(複製)するシステムの構成例を示しています。例えば、r0はWordPress領域、r1はMariaDB領域のデータと想像してもらうとイメージしやすいと思います。これを最大31台(ノード)で構成するシステムにまで拡張できるようになりました。
一方のデータ再配置とは、「リソースの移動、増減、複製」を行う作業のことです。レプリケーション対象のサーバを増減する管理に加えて、例えば以下のようなシステムでの管理も可能です(図4)。
図4では、図3の構成から3台目の「ホスト名:DRBD9-3」から、リソース(r0とr1)を一時的に削除した様子を示しています。ホスト名:DRBD9-3のサーバにはリソースがない(読み書きがない)状態。つまり、「一時的に削除する」ことで、障害対応やメンテナンスを安全に実行しやすくなります。復旧できた段階で「データを再配置」すれば、元の図3の状態に戻せます。焦らず「確実な運用」をより実現できるようになるといえるでしょう。
もちろん、「リソースを複製(増加)」して冗長化構成をスケールアウトしていくことも可能です(図5)。
新機能 2:統合運用ツール「DRBD Manage」を用意
DRBD 9では前述した通り、多ノード対応やリソース移動の機能が備わりました。これまでのように各サーバ個別に設定していく体制のままでは運用が複雑になりそうです。そこでDRBD 9では、DRBD環境全体を管理するための「DRBD Manage」と呼ばれる設定ツールが用意されました。
DRBD Manageでは、DRBDの設定をコマンド投入で行え、かつ、管理する各ノードへ設定を一括配布できます。ノード構成、データ再配置(リソース再配置)作業とDRBDの状態確認などの管理がとても楽になります。
新機能 3:DRBD 8系との設定互換性を確保
DRBD 9は、前バージョンのDRBD 8.4と設定値の互換性があります。
DRBD 8.4からバージョンアップを実施すると、メタデータが自動的にDRBD 9用に変換されます。バージョンアップも比較的簡単に実践できるでしょう。
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