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SDS機能を実装 冗長化支援ツールの最新バージョン「DRBD 9」は何が便利になったのかDRBDの仕組みを学ぶ(14)(3/4 ページ)

DRBDを軸に、データを遠隔地にも即時複製して万が一の事態に備える「冗長化/高可用性システム」の構築テクニックを紹介する本連載。今回は、DRBDの最新版である「DRBD 9」の新機能を解説します。

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新機能 4:「自動プロモーション」機能を実装

 自動プロモーション機能とは、「mount」「umount(unmount)」のコマンドと「プライマリー昇格」「セカンダリー降格」をシンプルに連動させる機能です。

 順に説明していきましょう。まず、以下の構成図をご覧ください(図6)

photo 図6 DRBDによる基礎的なデータ冗長化構成

 図6はサーバ2台の構成で、プライマリー機からセカンダリー機へDRBDでデータ複製を行っている、DRBDを用いた基礎的なシステムです。ここでのDRBDのマウントポイントは「/dev/drbd0」で、リソース名を「r0」とします。

 このシステムでは、現プライマリー機である「一号機」に障害が発生したら、「二号機」にプライマリーを切り替えて、二号機でサービスを継続させます。従来のDRBD 8系では、二号機へプライマリーを切り替えるために以下のコマンド操作が必要でした。

# umount /dev/drbd0
# drbdadm secondary r0
DRBD 8系手順 1:一号機側で、マウントしている領域を「アンマウント」して、一号機を「セカンダリー」に降格
# drbdadm primary r0 
# mount /dev/drbd0
DRBD 8系手順 2:二号機側で、二号機を「プライマリーに昇格」させて、領域を「マウント」する

 つまり、一号機側で「/dev/drbd0」をアンマウントしてからセカンダリーへの切り替えるコマンドを入力し、二号機側でプライマリーへの切り替えてから、「/dev/drbd0」をマウントする作業が必要でした。

 一方のDRBD 9では、同じ工程でも手順が減ります。

# umount /dev/drbd0
DRBD 9系手順 1:一号機側でマウントポイントを「アンマウント」する
# umount /dev/drbd0
DRBD 9系手順 2:二号機側でマウントポイントを「マウント」する

 作業工程としては、アンマウントするならばセカンダリーへ降格、マウントするならばプライマリーへ昇格の作業が対になりますので、程よくシンプルになりました。これまで必要だったdrbdadmコマンドは自動的に実施される仕組みです。

新機能 5:「DRBDクライアント機能」の実装

 「DRBDクライアント」とは、ローカルにDRBD領域(ボリューム)を持たないサーバのことを指します。構成例は以下の通りです(図7)。

photo 図7 「DRBDクライアント」の存在するシステムの仕組み

 図7のシステムでは、プライマリー機(ホスト名:DRBD9-1)にはDRBDのマウントポイント“だけ”が存在し、実際のデータはセカンダリー機である「ホスト名:DRBD9-2」と同じくセカンダリー機の「ホスト名:DRBD9-3」の2台に書き込まれます。

 この機能によって、セカンダリー機の2台を「ストレージ専用サーバ」とすることができます。

新機能 6:「RDMAプロトコル」の対応

 DRBD 9では、「RDMA(Remote Direct Memory Access)プロトコル」に対応しました。RDMAプロトコルの対応により、InfiniBandを用いた高速なデータ転送が可能となります。大容量のデータをより高速にデータ複製しなければならない環境で威力を発揮することでしょう。

 この機能は、有償のプラグイン「DRBD RDMAトランスポート」として提供されます。参考価格は、1ノード当たり12万円(税別)/年となります。

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