連載
【PostgreSQL】最低限設定しておくべきログ関連パラメータ3選:データベースサポート最前線の現場から(8)(2/3 ページ)
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。データベースサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は、PostgreSQLの障害発生に備えて設定しておくべき「3つのログ関連パラメータ」を紹介します。
2:log_line_prefix
「log_line_prefix」では、各行の先頭に付与するプレフィックスを設定できます。初期状態では何も設定されていません。「%から始まるエスケープシーケンス(*1)」を設定することで、各ステータス情報に置き換えられます。
例えば、「%t」はタイムスタンプ、「%u」はデータベースのユーザー名、「%d」はデータベース名、「%p」はOSのPID、「%l」は各セッション、プロセスごとのログ行番号となります。
(*1)参考リンク:%から始まるエスケープシーケンス
設定方法(Linux系システムの場合)
- 1:PostgreSQLをインストールしたOSユーザーに接続
# su - <PostgreSQLをインストールしたOSユーザー名>
- 2:「PGDATA/postgresql.conf」を開き、log_line_prefixの値を「'[%t]%u %d %p[%l]'」に修正する
- 3:PostgreSQLをリロードする
$ pg_ctl reload
設定方法(Windows系システムの場合)
- 1:PostgreSQLをインストールしたOSユーザー、あるいはAdministratorユーザーでログインする
- 2:「PGDATA/postgresql.conf」を開き、log_line_prefixの値を「'[%t]%u %d %p[%l]'」に修正する
- 3:PostgreSQLをリロードする
> pg_ctl reload
ログファイルの出力例
ここまでの設定によって、出力されるログファイルは以下のように変わります(例2)。
LOG: received SIGHUP, reloading configuration files [2015-08-30 20:36:22 JST] 2727[5]LOG: parameter "log_line_prefix" changed to "[%t]%u %d %p[%l]" [2015-08-30 20:40:26 JST]testuser postgres 3414[1]ERROR: relation "test" does not exist <-- [2015-08-30 20:40:26 JST]testuser postgres 3414[2]STATEMENT: create index test_ind on test(no);
例2 log_line_prefixまでを設定した状態で、test_ind索引を作成しようとして失敗した際に生成されたログファイルの内容
3行目:
・発生時刻:2015-08-30 20:40:26
・処理を実行したユーザー名:testuser
・接続先データベース名:postgres
・OSのPID:3414
・PID 3414に関連するメッセージ1:ERROR: relation "test" does not exist
・PID 3414に関連するメッセージ2:STATEMENT: create index test_ind on test(no);
3行目:
・発生時刻:2015-08-30 20:40:26
・処理を実行したユーザー名:testuser
・接続先データベース名:postgres
・OSのPID:3414
・PID 3414に関連するメッセージ1:ERROR: relation "test" does not exist
・PID 3414に関連するメッセージ2:STATEMENT: create index test_ind on test(no);
例2のログファイルでは、情報が足りなかった例1のログファイルと比べると、エラーが発生した項目に対する詳細な情報も記録されるようになりました。
得られた情報から、このエラーメッセージは、「testuser」ユーザーが「postgres」データベース内には存在しない「test」表に対して索引を作成しようとしたために発生したことが分かります。ここまで取得しておけば、トラブルシューティングに役立つはずです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「新機能」「廃止機能」「サポート状況」から見たユーザーにとってのOracle Database 12c
Oracle Database導入を実施ならびに支援するサービスプロバイダという筆者の立場から、ユーザーにとっての新バージョンの意義を考えながら、新機能や廃止された機能などを紹介します。 - オラクルが確約した「クラウド6箇条」と「Database 12c R2」の気になるトコロ
米オラクルのラリー・エリソンCTOが、同社の年次イベントで今後のクラウド事業の行方を確約する「Oracle Cloud、6つの設計目標」を掲げました。同時に発表された基幹製品「Oracle Database 12c」の次期バージョンのポイントと共に、そこにどんな狙いがあるかを振り返ります。 - オラクルのエリソン会長、「Oracle Database」最新版や多数のクラウドイノベーションを発表
米オラクルのラリー・エリソン氏は「Oracle OpenWorld 2016」の開幕基調講演を行い、同社のクラウドコンピューティングプラットフォーム全般にわたる多くのイノベーションを披露した。 - 【Oracle Database】忘れていませんか? 「アラートログ調査」に必要な、たった3つのキホン
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。データベースサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は基本編として「アラートログの調査で押さえるべき3つのポイント」を解説します。【Oracle Database 12c対応版】 - Oracle運用の基本「ログ」を理解しよう
本連載では、Oracle Database運用の鍵となるトラブル対処法について紹介していきます。第1回、第2回では情報収集の要となるログについて見ていきます。ログの出力情報は10gと11gとでは大きく異なる点がありますので、それぞれについても確認しておきましょう。 - カーソル・エラーとオブジェクトの問題切り分け
Oracleデータベースの運用管理者は、突発的に直面するパフォーマンス障害にどうやって対処したらよいか。本連載は、非常に複雑なOracleのアーキテクチャに頭を悩ます管理者に向け、短時間で問題を切り分け、対処法を見つけるノウハウを紹介する。対象とするバージョンはOracle8から9iまでを基本とし、10gの情報は随時加えていく。(編集局) - IF文のネスト地獄から抜け出せるMERGE文